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あのこは貴族のMTMYのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.8
婚約を解消させられた金持ちの娘、華子は、焦る親族に後押しされつつ出会ったお見合い相手の弁護士青年、幸一郎と結婚する。上位階級の彼らの新生活は順風満帆だと思われていた。一方、お金のない田舎育ちの美紀は、大学で上京して以来苦学生として都会で暮らし、大学の同期であった幸一郎と出会う。そうして、ひょんなことから同じ男性に出会い、交わるはずのなかった2人の女性の運命が交錯する。
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「人生のメリーゴーランド」ときけば、きっと「ハウルの動く城」を連想する人も多そうです。楽曲は人生の浮き沈みがありつつもどこかで作品に統一感を持たせるためだとか、ソフィの内面だとか、どうやらそういう意味だそうです。
「あのこは貴族」は、「メリーゴーラウンド」が内包的なもの(感情や情緒)ではなくてむしろ外在的なもの(人生を送る手段や環境)として作品の中に機能してそうでした。

メリーゴーランドって、馬車やきれいな白馬もあれば、ダサい馬もいたりしますが、どれかに乗ったら基本最後まで変えられません。
華子や幸一郎や、美紀の住む世界(とくにトウキョウ)もそういう"住み分け"がされていて、乗り物同士一定の距離を保ち続けるカルーセルごとく、ことが回り続けているのかもしれません。

でも、じつは見てる景色は違うわけでもなく、むしろほぼ同じことに気づけていないままなだけで、
もしくは、その景色をどういうふうに捉えてみているのか、もはやその乗り物を選択する自由が最初にあったにもかかわらず、「運命」と決めつけてのりこむか否かの社会に生きているんじゃないか…

幸一郎 「決まったレールを歩く、そういう人生なんだよ」

それを第三者的な立場から客観視して助言してくれるのが逸子。貴族の資格をもちながら、そういう分断的な社会に疑問を持って、常に自分らしく生きようとする(たぶん作品上もっとも重要な人物な)存在が、まわるメリーゴーランドの外側で彼らを見守っているような、そんな印象を受けました。

きっと原作を読んでいれば、もっとわかるところもあるのだろうなと思いつつ、思い返せば返すほど「あーだこーだ」考えられるいい映画だったと思いました。いい意味で、人物像や環境の色んな対比関係はおろか、撮影方法的にもちゃんと考えられていたところが多くて分かりやすい作品だなと思ったし、悪い意味で、なにか色々ちょっと足りない(もっとほしい)、と思う作品でもありました。

冒頭、「あのこは貴族」のタイトルが出るシーンは、とくに秀逸に思いました。
わたしも高良健吾と同じ席でご飯食べたいと思いました。

ちなみに、同監督の『グッド・ストライプス』は私のだいすきな中島歩さんがでてるだいすきな作品ですので皆様ぜひ。

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