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アル中女の肖像のMTMYのレビュー・感想・評価

アル中女の肖像(1979年製作の映画)
4.5
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✔︎『アル中女の肖像』(1978)
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#mtmy映画イラスト
監督#ウルリケオッティンガー
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ウルリケ・オッティンガー監督の作品は初めての鑑賞。
制作から40年余りの時を経て、今回劇場で公開されてた「ベルリン三部作」のうち、
R.W.ファスビンダーも「最も美しいドイツ映画」と称賛したという『アル中女の肖像』を観てきました。

"飲むために生き、飲みながら生きる、酒飲みの人生。"

英題が「TICKET FOR NO RETURN」であるように、美しい女"マダム"は異国へと酒飲みに明け暮れる旅へと出ます。

美しいファッションに身を包み、何もしゃべらず、ひたすらに気高いモデルのような風貌でありながら、
大量のアルコールを注文し続け飲み続ける"マダム"の姿が永遠と…は続かず、破滅へと向かっていきます。

この作品が面白かったのは、なんといっても鮮やかな映像がパンチ&クラッシュのパレード。
一人の"女性"の男性優位な世間からの"あるべき"願望に沿った社会的存在意義、
もしくはそこからの"解放"を望むようにありのままに生きる奔放な人間…のいろんな要素を、
ありとあらゆる登場人物たちが化身になったり、代弁したり、
時には語りべになってくれています。

そしてその視覚的情報が飽和しそうになりながらも、
"マダム"がひたすらへべれけに酔って迷惑かけて壊れていく映像を見させられているのに、
その美しさに見とれてしまう、なんてまさに魔法のような時間。

この作品には、彼女に引っ付くように付きまとう複数のキャラが出てきます。
古臭いオリエンタリズムや人種差別や反男性優位社会を反映したような小さいおじさん、
社会常識を擬人化した女たち、ホームレスの女はすべて主人公の女の"分身"としての役割で関わっているように見えました。

実際にはいない、あるいは、特にホームレスの女なんかは、"マダム"の酔っぱらいの本来の醜態にみえました。
すごい飲んでるのにきれいなままの"マダム"は、幻想の中ではパパラッチの的にもなります。
「あくまで私は美しくあるべき」という世間の女性像への願望や目に対して、
我や理性を失って破滅へと向かうとき、死が迫り、最後までバキバキかっこいいクライマックスへ向かいます。

いくら美人がかっこよい映像に映ってるからといって、2時間近くもべろべろ酔っぱらいを見続けるのは、ワイン好きの私でもちょっと禁酒したくなるくらい辛かったですが...笑

不協和音も美しくてかっこいい、とても面白い作品でした。

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