✔︎『aftersun/アフターサン』(2022)
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#mtmy映画イラスト
監督#シャーロットウェルズ
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ソフィが覚えていたのは、ビデオの中の父？それとも、ビデオの中には映ってなかった父？
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あらすじ
思春期真っただ中、11歳のソフィは、離れて暮らす31歳の若き父・カラムとトルコのリゾート地にやってきていた。輝く太陽の下、ソフィは遊びにいそしむ年上のティーンたちにまぶしさを覚えつつ、父とビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間を共にした。
20年後、31歳になったソフィは、そのビデオカメラの映像を見返しながら過去や当時は知りえなかった父・カラムの影を回顧していく――。
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昔の家族との記憶を振りかえりたくなる時って、忘れてしまった何かや
失ってしまった記憶を取り戻したい時
だと思います。
あれこれ語らうまえに、この作品でひとつだけ押さえておきたいのが、
31歳になったソフィが見出した、"父の知らなかった一面"とは
"ビデオの中の愛情にあふれた父・カラムの姿"であり、
作品に時折挿入される、"苦悩するカラム" ではないということ。
つまり、この作品はソフィが
「"大好きだった(はずの)父に思いをはせる"映画」になるし、
個人的には意外とそこがミソではと思っています。
ミニマリスティックな作品なので、多くは分からないままなのですが、きっと、
あのバカンスのあと、父カラムとは疎遠、喧嘩別れでたぶん両親は離婚。
父カラムは自身の家族関係に影や葛藤を抱えて苦労した人だというのは知っていたものの、母親が「あいつは別に女を作って私たちを捨てたのよ」うんぬんカラムを悪い者扱いしてソフィとも一切会わせなくさせてしまったのではないかと（個人的に勝手に）推測しています。
なので、ビデオカメラを見返さないと、その父の当時の自分に対する愛や優しさに触れることができなかったと考えられます。
この作品を見た私たちにとってはあまり想像もつかない像ですが、
31歳のソフィにとって、カラムとは「若気の至りで母をはらませた男」としてその後インプットされてしまってきたからこそ、
この映画が成り立っているのでは、と思うのです。
（ちなみにもっと妄想すると、現在のソフィはその父との嫌な関係がきっかけで男性不信になっているとも見て取れます）
太陽が反射する水面のようにキラキラした映画だと思っていたら、
その水面に映ってゆらぐ人たちの姿の投影に焦点が合っていくような複雑な映画だった
と思わせて、じつは、その逆なのかもしれません。
カチッ ジーー・・・
と回り始めるビデオカメラのエモーショナルな音と共に映し出される"当時の2人の、あの時間"は間違いなくかけがえのないもの。
最後のシーンで映し出される、ビデオカメラを構えたカラムの姿。
彼はカメラを静かに閉じて、ここでソフィが思い出したかった"当時の2人の、あの時間"は終わり、
独りの若い男、または"私たちを捨てた男"カラムへとなって、クラブハウスへ消えてゆくのです。
そして31歳で子を持つ(シングル？)マザーとなったソフィは、そんな今昔の父の姿と自分-若者でありママである-と重ねて、愛や人生について、そっと思案するのです。
きっと、そんな映画です。
わたしのいつか、そうビデオやアルバムを見返したくなる時がくるんだろうか。
父との関係が良くない自分にだからこそ、そんなことを少し思ってしまう作品だった。
カメラアングル、構成、色彩、なにもかもが、とても良かったです。
個人的には監督がスコットランド出身というのもあって、俳優がスコットランド訛りなのもよかったです。
でもって、さんのコラージュ推しなあのパンフレットがまた最高なのよ・・・！
みなさんも見られることをお勧めします。
