エソラゴト

ベルベット・ゴールドマインのエソラゴトのレビュー・感想・評価

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監督は『キャロル』等のトッド・ヘインズ。2016年1/7に残念ながら閉館してしまった渋谷シネマライズ、同じく1/10に亡くなったD.ボウイの思い出に耽りながら再度鑑賞。

登場人物の容姿や音楽は実在のアーティストをなぞった形なので、当時のグラムロックの文字通りグラマラスでゴージャスな耽美的な魅力と世界を存分に味わう事ができる。

グラムロックの華やかさもさる事ながら、もう1人の主役カート・ワイルド役のユアン・マクレガーのイギー・ポップのなりきり振りは名前通りワイルドで、ステージ上でテンションがMAXになり〇〇〇を晒け出すシーンは圧巻!

また真相を追う新聞記者アーサー役にはクリスチャン・ベイルが好演。彼自身も当時のグラムロックに心酔し彼等を追いかけていた過去を持つナイーブな青年として描かれている姿はトッド・ヘインズ監督自身の投影の様にも見え、物語全体の語り部の役割も果たしている。

音楽に携わった面々も豪華でレディオヘッド、スウェード、プラシーボ等公開当時活躍していた現役アーティスト達が名を連ねていて聴きどころ満載。楽曲もT.レックスやストゥージズ、ヴェルベット・アンダーグラウンド等これまた豪華。

しかし全編観終わると気付くことが一つ。今作タイトルにもなっている肝心のD.ボウイの曲が使われていないということ…。

数多くの映画に楽曲提供したり、自身も映画出演したり、息子も映画監督だったりと映画に関しては造詣も関係も深い彼なのだが、この作品に関してはその許可を結局出さなかったそう…。調べてみると様々な理由があった様でそれもまた彼らしさの象徴なのかもしれない。