もものけ

リーピングのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

リーピング(2007年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

神の御業も悪魔の所業も、人にとっては理解のおよばない出来事なのよねぇ〜……。

"神の奇跡"を科学の力で証明しチリより戻ったキャサリン教授は、不仲になった神父から悪魔の到来を告げられる。
次なる調査地、ヘイヴンと呼ばれる田舎町で目にしたものは、おおよそ科学では解明できない不思議な出来事だった。
娘を失ってから、信仰を捨てたキャサリンは、村で悪魔の子と呼ばれる少女と出会い、亡き娘の面影を持つ少女が起こす十の災いを証明できず、次第に科学への自信が揺らぎ始めるのだった…。


感想。
監督は、よほどヒラリー・スワンクのファンなのでしょうか?
そんな思いにふけるくらい、その美貌と均整の取れたプロポーションを余すことなく、センスの良いコスチュームで包み込み、ヒロインとしてウットリするくらい美しく撮っております。
あまりのファンっぷりに、不必要に思えるラブシーンまで撮影する気合いの入りようですが、これはラストで伏線回収されて納得。
とにかく、ヒラリー・スワンクの魅力タップリな、オカルトホラー映画です。

しかし、ただのオカルトホラー映画ではなく、愛するものを失い信仰を捨てる母が"神の奇跡"を目の当たりにして信仰を取り戻すドラマをベースに、貧困層における現実の逃避から起きる迷信、未婚の母への差別、ネグリストの問題、科学的解明の証明など様々なテーマを物語に取り込んで、B級になりがちなホラー映画のジャンルを見事に一級の作品へと創り上げた名作でした。

"神の奇跡"として表現される現象をVFXを駆使し、動物や昆虫のおぞましい姿で描き、あえて異形の怪物を出さずに、スーパーナチュラルなのか自然現象なのか、どっちつかずに演出しているのもオカルトらしくて素晴らしいです。

そして、世界各地でオカルト現象としてニュースになる、空から降る動物や、染まる河などを科学でスッパリ斬りつける潔さが良いです。

カメラワークもメリハリがあり、光と闇のトーンを上手く使い、明暗を分けてホラー映画として演出。
音楽も迫力あるCGI効果を盛り立てて土曜日夜ホラーナイトにはピッタリな作品にしてます。

ラストシーン盛り上がりで魅せる"神の奇跡"の迫力ある演出と、悪魔の子と村人へのサスペンス的結末でニヤリとさせられ、続くエンディングのオチがホラー映画王道展開での幕引きに拍手喝采です。

こういった信仰を映画ではよくテーマにしており、そのたびに思うのは、キリスト教を深く信仰して疎外されると、すがる神を求めて真逆の悪魔信仰へと向かう構図は、本来は罪人を救済するキリスト教が、迫害をして悪魔信仰へと追いやった元になっているように感じます。
つまり、悪魔を造っているのは、神を造ったキリスト教なのではと。
なかなか深いテーマでございます。
そして、作品を盛り立てるテーマでもあるのでございます。

割と評価が低く、二番煎じと揶揄されてしまいますが、個人的には素晴らしい作品でしたので、5点を付けさせていただきました!!

ヒラリー・スワンクの美しさとコスチュームの美麗さに、ご堪能あれ。
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