yt

FALL/フォールのytのレビュー・感想・評価

FALL/フォール(2022年製作の映画)
3.6
スコット・マンが監督を務め、地上600mもの高さがあるテレビ塔に登った2人の出来事を描いた米サバイバル・スリラー。人は本当の窮地に陥った時、どのような行動を一体取るのか。何をきっかけに危険な行動をとろうとしてしまうのか。人間の心理が繊細に描かれている、ワンシチュエーション作品。

[レビュー]
・ワンシチュエーション、地上600mのテレビ塔、と何ともB級映画の匂いが漂う作品なのにも関わらず、想像以上に面白かった。シナリオがしっかりしていて、関係ないだろうと思っていた場面が後の伏線に進化したり、地上600mだからこそ起きる、食料不足や天敵、天災などの出来事がしっかりと描かれているところが映画の内容を底上げしているのだと思った。

・本作の最大のオチと呼ばれる場面が物語終盤で起きるわけだが、そのオチがギリ読めそうで読めないラインなのが良い。普通有り得なくね?みたいな行動をハンターはめちゃくちゃとるから、最初はたかが映画だしな……目線で観ていたのも、とあるシーンで一転、声を出すほど驚いた。そういうことね。このリードの仕方も良く出来ている作品。

・とは言っても、ツッコミどころが無い訳じゃない。明らかにキャラ映るだろ!って場面でキャラが何故か居なかったり、ラストシーンでもベッキーとベッキーの父は喜びを分かち合うのにも関わらず、ハンターのことは一切触れない?っていうところなど、爪が甘いところは多少はあった。

・同じワンシチュエーションの「リミット」ではないけれど、同じようなハラハラを味わい少々疲れた。高いところ、狭いところはたとえ恐怖症じゃないとしても長時間居れば怖いし、その絶対怖いという心理に様々なアクションが加えられる作品たちはある意味ホラー映画よりも怖い作品になっているのではないだろうか。

・映像の迫力も良い。軋むテレビ塔に吹き荒れる風、ましてやテレビ塔の頂点に降り立った時からの迫力感はヤバい。これを劇場で観たらどうなるんだろう。1度観ておきたかったなぁ。

👉窮地に陥った時の人間の心理描写を見事に映し、高さという観点から怖さを引き伸ばし上映時間106分を走りきった作品。期待してなかったけど、観て良かった作品だ。
yt

yt