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M3GAN/ミーガンのytのレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.9
ジェラルド・ジョンストーンが監督を務め、「SAW」シリーズでもお馴染みジェームズ・ワンと映画プロデューサーであるジェイソン・ブラムが製作に携わった新型AI人形の暴走を描く米ホラー。低予算かつ高クオリティな作品を生み出すことで好評のブラムハウスが作り出した本作は、成長する人口知能をもつ人形がテーマと現代的。時代の進化そのものに対して恐怖を覚える、新しいホラー作品。

[レビュー]
・人形が物語の中心となるホラー映画は多数あるが、その中でも人形にAIが導入されている、というのは何とも現代的で面白かった。人形自体が怖い、というよりは子どもと触れ合うことで成長し、人間の力では歯止めが効かなくなっていく様が観ていて恐ろしい。だが物語を通して人形、あるいはAIが悪い、怖いとは一概には言えない部分もある。人形を母親代わりにさせることや、成長する度合いを見極められなかったところなどは、人間にも非があるわけで、共に共存し人間の生活をより良くするために上手くAIを利用することがどれだけ難しいかが描かれている。

・とある出来事がきっかけで、ケイディは主人公であるジェマの下へとやってくるが、その出来事が酷く切ない。だがこの出来事があるからこそ、ミーガンの良さと悪さが同時に引き出されている。ジェマの家で、自分のコレクション品を触れること、スマホをいじってご飯を食べるシーンなどは、強調されていたが後にここで生きるのか!とびっくりした。

・本作は、人間とAIの関係について物語を通じて上手く描かれているが、理想の親像も上手く描かれている。ケイディの両親は、ケイディに対してタブレットの時間やシートベルトと厳しい部分もあるが、その分絵本を読み聞かせたり目を見て話したり、と優しい理想の親の姿を描いている。この辺りをジェマと対比させているのも良い。

・ラストシーン、ケイディが自らジェマのロボットを動かすのは胸熱だった。つい最近観たマリグナントもそうだったが、様々な形での家族の姿を描くのが上手いホラー映画多い。深い絆ではまだないかもしれないが、心を少しでも通わせた瞬間だっただけに最高だった。

👉これからの時代へのある種問いを投げかけているような、そんな作品。AIの姿、AIに何を求めるのか、人間はやがてどう過ごしていくのか……。新しい世界の在り方が垣間見える、面白い作品だ。
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