磔刑

スマイルの磔刑のレビュー・感想・評価

スマイル(2022年製作の映画)
2.5
オススメ度☆☆☆
上質な雰囲気に反してジャンプスケアという最も稚拙な怖がらせ方を多用するのが残念過ぎる。恐怖描写がありきたりなのでホラー映画としての満足度は高くない。
独創性の高い設定と思わせて、ある映画の設定をそのまま流用しているのも満足度の低さに直結する。
暇つぶしには悪くは無いが近年のホラー映画にはもっと優れた作品があるので、わざわざ勧めるほどではない。中の下か、下の上。
<以下、本編と『ヘレディタリー』、『ローズマリーの赤ちゃん』、『ウィッチ』のオチを含むネタバレあり>











掴みは良かったし、全体的な空気感やカメラワークも上質な雰囲気があり期待できたが話が進めば進むほど残念だった。

まず、怖がらせ方が稚拙過ぎる。
突然の大音響とジャンプスケアに頼り過ぎだ。余裕のある大人の雰囲気が漂う演出に似つかわしく無い子供染みた手法に呆れる。しかも怖がらせる方法がそれしか無いとはこれ如何に。ジャンルはホラーだが、ホラー部分が1番阿呆らしいから如何ともし難い。

序盤こそ独創性を感じたがストーリーがまんま『リング』で、「えっ?これリメイク?」とすら思えた。
同じ設定と解決方法なので、オチも限られてくるが『リング』のようなカタルシスは無く単純に敗北エンドで創作物として残念極まりない。それゆえ『リング』の下位互換と言っても過言では無い。

主人公の行動も機転が効かな過ぎてイライラする。寝なさ過ぎて思考が捗らないのかも知れないが、もっと良い手段があったのではと思えた。

そもそも不気味な笑顔の人あんまり出てこないし。出てきても別に何するわけでも無いのに怖がりすぎだし。
結局化け物って毛色の違う恐怖を出すもんだから作品の方向性ブレてるし。
それに夢オチ多用し過ぎはダメでしよ……。

悪魔、乗っ取り系でネットリした演出、トラウマという題材的にも『ヘレディタリー』を連想してしまうが比較してもダメダメ過ぎる……。
特にオチが類似するんたけど、『ヘレディタリー』は悪魔と同化することにある種Highにさせられる雰囲気がある。実際、敗北ではなく仲間として受け入れられてるのだから悪い気はしない。それは『ローズマリーの赤ちゃん』や『ウィッチ』にも言える、観ている側の価値観や既存の倫理観を変えるカタルシスがある。

そんなある種の敗北の美学、闇堕ちする高揚感が今作には無く、予定調和的な負けエンドなので何の面白味も無い。それでも悪くはないが、それなら過程の対決をもっとハラハラさせてくれないとメリハリが無い。

いや、ほんま今更『リング』の劣化を見させられるとはね…………。というか普通にパクリなのでは?
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