Mayo

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのMayoのレビュー・感想・評価

4.1
淡々と、そして確実に、#metoo運動の発端となった記事が書かれるまでを描いた骨太作品。
主人公の2人の記者、ミーガンとジョディが2人とも子供のいるワーキングマザーであり、時には仕事を優先しながら、時には家で家族の世話をしながら、電話を受けたり調べたり、記事を書いたりしていく様子が丁寧に作られていて、その細かな描写にものすごく勇気づけられた。
今の日本でこんな働き方を自然に受け入れることができるだろうか?(きっと日本のドラマだったら、お母さんたちはもっと「大変」という描写が加えられる気がする)

主演の2人と、製作陣が最初に決めたという取り決め。
・過剰な脚色を避け、可能な限り純粋に現実を描いた
・ハーヴェイ・ワインスタインを映さない
・女性に対する暴行の場面はいっさい描かない
・その代わり、サバイバー自身の声や言葉を使って描写する

これ、本当に素晴らしい。
こうやって描くことに制限をかけながら、ここまで緊迫感のある演出をしているのは見事。むしろ妙にリアルで気持ち悪く、直接的な描き方よりよっぽど効果的だったと思う。

ご本人が出演している人、そうじゃない人、など色々いるのでやや誰の話か混乱するところもあるんだけど、それでも少しずつ徐々に真実に近づいていく感じがスリリングでぞわぞわしてくる。

2人の記者が、彼女たちなりの背景をもってこの事件を暴きたい!という、もう少し怒りがモチベーションになっているような感じなのかと見る前は期待していたけど、どちらかというと「記者としてやるべき」感じだし、描き方も本当に淡々、冷静。女性はヒステリック、と言われがちだけど、こんな風に落ち着いてこの作品を作ったことは素晴らしいと思う。

真実を語る最初の1人になった女性たちの勇気を讃えたいです。
Mayo

Mayo