Mayo

ボーンズ アンド オールのMayoのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
3.9
カニバリズムを描きながら、こんなに美しく仕上げられるってすごいな。
口や首元にべったり血をつけながらも美しいティモシー・シャラメは言わずもがな(それを観に行った)。
意外にもロードムービーだったので、アメリカの州と州を繋ぐ荒野の景色や、移動の途中で入るダイナーなど、画の切り取りがとても美しい。

18歳になり一人ぼっちになって、突然外の世界に飛び出してしまったマレンが、同じくイーターとして生きる人たちに出会いながら、自分の生き方を探していく。
アウトサイダーとして生きる人たちが、一括りにされがちなこの世の中で、それぞれにルールや生き方を持ち、「こんなにも一人一人って違うんだ」ということを実感させられる。

人を喰べる描写は私には結構気持ち悪くて、目を逸らしてしまったところもありますが、グロさよりも、むしろ彼らがその辺に生きているのではないか?と思わせるような妙なリアルさが気持ち悪かった。
そのくらい、テイラー・ラッセルやティモシーや、マーク・ライランスが素晴らしいです。
マレンが行く先々で、新しい人が出てくるたびにものすごくドキドキして、年頃の女の子が一人で旅してるって、たとえイーターであってもこんなに危険なんだって思って、それもきっとマレンたちが、人喰いというバケモノのようでなく、むしろ人間らしく色んなことに悩みながら生きている描写が強かったせいだと思う。
リーの抱えるものを知って、リーの見え方が変わってくるんだけど、何かを背負って生きるティモシー・シャラメってどうしてこんなに助けてあげたくなるの。顔の白さや下に伸びるまつ毛まで全てがずるい。
サリーについては、気持ち悪いんだけど、その孤独さやマレンに出会ってしまったがゆえの執着心もよく分かってしまい、より恐ろしかった。最後の血の色がどす黒くて震えた。
あとクロエ・ゼヴェニー出てきた時はなーんかドキッッッとしたよね。。

衣装が素敵だった!マレンの青みのあるセーター、リーの女性もののブラウス、どれもお洒落とかカワイイというだけではなくて、この世界にしっかりハマっているのがいい。

BONES AND ALLの意味が、映画の途中で聞いた時はただ気味が悪かったけれど、最後は愛の象徴になっているところがすごいし、やっぱり恐ろしい。
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