Mayo

RENT/レントのMayoのレビュー・感想・評価

RENT/レント(2005年製作の映画)
5.0
好きなミュージカルはたくさんあれど、
私の中でNo.1はRENTです。
もうブロードウェイ版も来日ツアー公演もシアタークリエ版も何度見たか数えきれない。

俳優たちのエネルギーだけで成立しているような、ややカオスとも言える舞台と比べると、映画版はすっきりと整理されすぎているように思う。

ただやはり、この映画版があることで私は何度も救われている。
初演時から10年近く経って年齢が上がってしまっているとはいえ、ほぼオリジナルキャストで映画化してくれているということに本当に感謝。今やそれぞれが別のミュージカルやTVドラマでスターになっているから、今から振り返ると奇跡のようなタイミングだったんじゃないかな。

ミミ役とジョアン役は事情により、新しいキャストなんだけど、この2人のキャスティングは本当に成功していると思う。
ミミ役はロザリオ・ドーソン。ヒロイン感強い。衣装めちゃくちゃ可愛くて似合っててバランス良い。
ジョアン役はトレイシー・トムズ。ジョアンって、舞台版だとなかなかに恰幅の良い黒人女性が演じるっていうイメージなんだけど、トレイシーは小柄で美しくもカッコ良くもあり、新しいジョアン像であり、固定観念に縛られない感じが好き。

そしてこの映画版の最も大事なところ、それは彼らの生活をリアルなNYの世界に落とし込んでいること。
舞台版はセット転換がほとんどないので、マークがNYの街を自転車で走り、レンガのアパートで歌い、ライフカフェに行く。モーリーンがプロテストのライブを開き、エンジェルが路上でバケツを叩く。もうそれだけで最高に嬉しい。
一方で、マークとロジャーの暮らすアパートにはちゃんとシルバーの長いテーブルがあったりして大事なポイントは逃さない。
特に好きなのは、Santa Feを地下鉄の中で歌うところと、その後のI’ll cover you。
地下鉄への階段を降りてホームに電車が入ってきて乗り込むというタイミングが完璧すぎて感動。

舞台版では全てのシーンが音楽で繋げられているけれど、映画版は、かかってくる電話やホームレスたちの出番は全て台詞に置き換えられてる。
ライフサポートのシーンはものすごく丁寧に撮影されている気がする。とても目立つというか、印象に残る。
こうした演出は、舞台版ファンからするとマイナスに取られることもあるけれど、しっかり方針を持って演出している感じが私は好感持てる。
Seasons of Loveを冒頭に持ってきたこともしかり。

とにかく節目節目で何度も見ては助けられている大好きなミュージカル。
Mayo

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