とりん

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのとりんのレビュー・感想・評価

4.1
2023年7本目(映画館3本目)

数年前から続くMeToo運動火付け役ともなったニューヨーク・タイムズ紙の報道を描いた作品。大好きなキャリー・マリガンを目的で元々チェックしていたが、非常に観る価値があり、深く考えさせらる作品だった。
当時も衝撃だった映画業界に蔓延る性被害問題、少なからずありはするのだろうと昔から思ってはいたけれど、事実を綴った本作を観ると改めてここまで酷いものなのかとショックを受けた。もちろん他の業界でもこういったことはあるのだろうけど、社会的地位や立場、性別の違いなどで陥れようとすることは断固とした許せない問題である。被害にあった人たちは当時のことを思い出したくなかったり、言うことによって恥を晒してまう、自分の立場や生活が危うくなってしまうと声を上げれない人が多いのも知っているし、わかるけど、それに加え、ここで明らかになるのは示談という名の黙秘を含めた誓約を強制されいること。観ていてもそういうことに対する憤りがあったし、被害を受けた人たちは一生治らない傷を抱えてまい過去は変えられなくても今やこれからを少しでも安らかな生活が送られていることを祈りたい。勇気を上げて声を上げた人たちに敬意を示したい。
MeToo運動で次々と声が上がり、いろんな業界や会社、社会の方針を変えさせるまでに至っている。発言をした人たちのどこまで真意で信憑性のあるものかなんて当の本人たち以外判断が難しいかもしれないけど、間違いなく被害を訴えた人たちの声を無にすることなんてできないし、してはいけない。というかそもそもこんな問題起きてはいけないし、絶滅しないかな。
なんか映画の内容から逸れてしまってはいるけれど、そんな実情をしっかりと描ききっている。今回の加害者となった相手の振る舞いも実に腹ただしいものだ。タイムズ紙の記者たちが事件を追うにつれて明らかになる実情に憤りを露わにしたり、なんとかしてこの社会問題をどうにかしたいという強い気持ちを受け取ることができた。パパラッチの類は嫌いだけれど、こういった社会的問題の事実や事件の真相を追ったりする記者たちは見えないところからの圧力もすごく、心労は計り知れない。
主演のキャリー・マリガンとゾーイ・カザンの演技は素晴らしかった。男性も女性もこの映画を観てただの事実だけで捉えるのではなく考えてほしいし、できるものたちは行動できればと思う。
とりん

とりん