へたれ

バルド、偽りの記録と一握りの真実のへたれのレビュー・感想・評価

1.5
イニャリトゥ本人とイニャリトゥのファンに向けたノベルティグッズみたいな作品で、それ以外の人が楽しむのはかなり難しかった。
ビジュアルは「バードマン」や「レヴェナント」で確立した見せ方を結構踏襲するので、「カメラがグリグリ動く〜」とか「マジックリアリズムが幻惑的〜」みたいな感想は言いやすいけど、逆に言うと二匹目のドジョウを集めて福袋にしたようなルックスが続くので、「ルベツキがいなくてもルベツキっぽい映像は作れるんだな」程度の感想しか抱かなかった。
監督本人がどれくらい意識しているか分からないけど、メキシコ版の「8 1/2」をやろうとした挙げ句に失敗した感じはする。監督本人のエゴが強すぎて、人生を省みるよりも先に自己弁護と自己憐憫が前面に出過ぎてしまった。その結果、全てのセリフが監督自身の言葉に聞こえるし、さらにそれが「お前の中ではな」で片付いてしまうような自己満精神に溢れていて、最後まで見通すのがかなり苦痛。
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