愛情を持って接してくれているようで、どこか愛情に背を向けているようでもあって、ちひろさんの抱える寂しさが見えるようで見えない。この掴みどころのない人物を有村架純に演じさせるとは…キャスティングの妙。
ちひろさんの今の生き方はいろんな過去と葛藤があってたどり着いた境地かな。自然体と言うべきか、ちゃんと浮かんでこれるようにジタバタせず力を抜いてじっとしている感じ。
思うままに人に寄り添うけど自らもたれかかることはしない。苦しい環境にいる人にとってその近すぎない距離は心地よく、そしてその埋められない距離が寂しくもある。この不安定さを描きながら最後にちひろさんに「どこにいたって孤独を手放さずにいられるわ。」って言葉をかけてくるあたり、この作品あまりにも人間の解像度高すぎるな。寂しさも優しさも人には大事な感情だ。今泉監督の作品って自分の中で漠然としてた感情や思考を表現してくれるからなんか気まずい。笑(褒め言葉)それでも結局新しい場所を選択していくちひろさんにも深く共感。
この映画もまた私の孤独に踏み入らないでいてくれて、でもひとりじゃないよと声をかけてくれるような優しい物語だったな。
