KanaiSatoru

正欲のKanaiSatoruのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.9
正欲を観ました。

なんでしょう?この映画、死にたい人同士が繋がって、何とか生きていく話なんですけど、磯村くんの男性のパート、新垣さんの女性のパート、稲垣吾郎の家族パート、さらには大学生のパートの4つが同時並行的に進行していく。

それぞれに共通するのは、普通じゃないことでの生きずらさを抱えてる点。
稲垣吾郎のパートは、子供が不登校という意味での普通じゃない家庭で、稲垣吾郎自身は、むしろ普通過ぎるほど普通なので、普通じゃない人たちを理解できず、不登校の自分の子供のことも、奥さんのことも理解できない。

観ている側は、普通じゃない人たちに感情移入して、なんとか彼ら彼女らが、生き続ける道を探して欲しいと願う。
だから稲垣吾郎に怒りさえ覚える。
だから家族が出て行った稲垣吾郎に「ざまあみろ」とさえ思う。

でもね、現実社会では、僕らは稲垣吾郎なんだよね。
異質な人を排除しようとしてるはず。
普通じゃない人、自分と違う人、理解できないものと距離をおき、排除して、時に傷つけることもする。

そんな自分たちの言動を振り返るきっかけになる映画だ思う。

最後、新垣さんが言うセリフ、そしてそれを聞いた稲垣吾郎の顔が印象的でした。

結局、何が幸せかなんてわからんもんだよね。
人から必要とされ、人を必要として、そんな関係を大事にすることが幸せなんじゃなかろうか?
決して普通に生きることだけが幸せなんかじゃない、そんなメッセージを受け取りました。

個人的には80点かな。
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