映画「市子」を観ました。
この映画、市子と呼ばれる杉咲花さんがプロポーズされた後に失踪すると言う話だけインプットして見始めました。
冒頭プロポーズの場面から始まるのですが、杉崎さんの演技に圧倒されます。
彼女がボロボロ泣き始めるシーンをで、恐らくどの観客も魂を持っていかれちゃう。
なんとも自然な表情で、とても演技とは思えない。
これぞアカデミー主演女優賞にふさわしいと、誰もが思ったはずです。
その後、失踪した理由が語られるわけですが、幼少期の彼女や少女時代の彼女がどんなふうに生きてきたのか丁寧に描かれます。
観る側は、グイグイ物語に引き込まれて、途中から何とか彼女に幸せになってほしいと自然に願うようになっていきます。
すごいです。👏
ところが中盤から後半にかけて、彼女には過去に取り返しのつかない闇を経験していたということがわかるのです。
自分だったらどうでしょう?
彼女の闇を全て受け入れて、それでも彼女と一緒に暮らしていきたいと思えるだろうか?🥺
終始、重たく胸が締め付けられる映画ですが、1つ最後の終わり方だけ気になりました。
結局、彼女はどうなったのか?
若干のネタバレあり
↓
自殺志願者の戸籍を手に入れ、新しい人生を歩み始めているような終わり方ですが、長谷川くんの愛情を通して改心して、自首するという終わり方もあったのではないか?
いやそれだと、お決まりの終わり方だな。そんな単純ではないのか。
あるいは長谷川くんと共に普通の女の子としてひっそり生きていくことも決断できたはず。
いや長谷川くんならきっと、全てを受け入れてくれるでしょう。
だからこそ、そんな長谷川くんと胸を張って生きていけないと、自分を否定した彼女は、消える選択しかなかったのかも。
結局、最後まで観る側も、彼女に振り回されて、感情を揺さぶられ、善悪の区別もつかなくなってしまうような不思議な映画でした。
個人的には85点です。