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女王陛下のお気に入りのKanaiSatoruのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.2
女王陛下のお気に入りを観ました。

こういうヨーロッパ時代の歴史映画は大好きです。
衣装やお城や生活習慣などがとても美しいからです。

結論から言うとこの映画、面白いです🤣
またアン女王をめぐる2人の女性を演じたレイチェル・ワイズとエマ・ストーンは、2人揃ってのアカデミー賞助演女優賞ノミネートの快挙。
また主演のでアカデミー賞主演女優賞に輝いたのが個性的な演技派女優オリヴィア・コールマン、アン女王。
この成果だけ見ても評価が高い映画だったことがわかりますね😉

さて物語は、もともと身分の高かったにもかかわらず、家の都合で下級召使いのような地位になっていた1人の女性(アビゲイル)が、ひょんなことから王宮に給仕係として雇われるところから物語が始まります。
彼女は何か特別な才能があると言うわけではないのですが、度胸がある性格や持ち前の頭の良さで、ちょっとした偶然も重なって女王陛下に気に入られることになります。
特にきっかけとなった薬草の件は、自然な展開で好感が持てました。

この映画では3人の女性が登場し、アビゲイル以外に女王陛下のアンと側近のサラの3人がほぼ平等に登場します。
側近のサラは女王の幼なじみであり親友で、女王も彼女には絶大の信頼を置いています。

劇中では、側近のサラがストレートな物言いで、女王に対してもアナグマみたいな容姿だとはっきり言う位に厳しい接し方をする中で、アビゲイルは女王に対して非常に優しく愛嬌ある接し方をするので、その対比が面白いです。(でも実は本当にアン女王のことを考えてくれていたのはサラなんですけどね)

サラは権力を握っており、女王の意見など聞かずに自分の思う通りに政治を行おうとするため、女王はしだいにサラに苛立ちを覚えていく様子が描かれるのですが、観ている側にも「サラやり過ぎじゃん」と思わせるのは意図的な演出でしょうかね、なかなか上手いですね。
観る側がサラを追い出そうとするアビゲイルを応援してしまうんですよ。

ところが、後半から思わぬ展開になっていきます。
この辺からまた観る側の感情も二転三転(アビゲイルからサラを味方するようになる)揺さぶりがホントに上手いなぁと感心しました。

王宮の中で起きる出来事を興味深く描いてて目が離せませんし、アビゲイルの成り上がり物語や、女王の言動が危なっかしすぎて、なかなか先の読めない展開に釘付けになる、とてもよくできた映画だと思いました。


少しネタばれ


最後のシーンは象徴的で、これからのアビゲイルの立ち位置や女王との関係の不安定さを象徴するようなシーンで終わります。

本編通してアン女王の精神的なメタファーとして使われている“うさぎ”がね、最後にも登場するんです。
これがね、余韻のある終わり方になってるわけです。

アビゲイルめでたしめでたし、とならないところが逆に良い仕上がりになったのかもしれませんね。

どの時代でも、男女ともに生きていく術を身に付けなければならず、そこには戦略的な行動が必要で、ただし、そうやって手に入れた地位は、意外とともろく長続きしないよという学び。

個人的には85点です。
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