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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のArdorのレビュー・感想・評価

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新宿武蔵野館にて観賞。
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暖色と寒色の入り混じった画面の暖かく緩んで、厳しくしまっている感じの美しさに魅了されながらも、人間関係の複雑さとかわされる長い会話劇にまごついたけど、見終わった瞬間やはり見てる瞬間は幸せだったな、と思った。
 「情報過多な社会に翻弄される若者」というような評も読んだけど、それでもみんな幸せそうに見える。なぜならそれは家族の話が出てこないからだ。モーリーは財閥令嬢なのに親の抑圧とか出てこない。お姉さんとのややこしい関係はあるけど。
都市化、情報化にそんなに否定的に見えない。高層ビルのモーリーの会社のオフィスの隣の大規模な工事とか、不安より期待してしまう。情報化だったらもっとテレビとか電話、FAXがでてくるはずだけど、そう言うこともない。都市のもとでビジネスと芸術を志向する若者の群像劇に見える。たくましくて、垢抜けてて、暖かくて、とても良かった。
 男達は全員微かに間抜けなのが良かった。

20代の頃、エドワード・ヤンの「カップルズ」をみて、こう言う映画が観たいんだよ!と思った(「ヤンヤン」や「クーリンチェ」ももちろん素晴らしかったけど、老成してる感じがあった)けど、この映画を若い頃見たらどう思ったろうと思う。今はもう倍近い年になってしまった。
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