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リコリス・ピザのArdorのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
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TOHOシネマズシャンテにて鑑賞
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オープニングでゲイリーがアラナを口説くシーン、ニナ・シモンの曲が流れる。きたこの「パンチドランク・ラブ」感!。その他にも初期PTA的意匠をたくさん感じた。しかし、初期PTA映画にあった、主人公たちが自分たちの危うげな存在をもがきながら模索する話とかじゃないし、そもそもずっと描かれてきた家族の話でもない。
結婚したあとの夫婦生活を描いたような若い子の恋愛話だった。そもそも企業家の話だし。若さゆえの性愛を意識する部分もなくはないけど、何度も嫉妬や方向性の違いを経験してそのたびに走って会いに行く。これって夫婦の話では。
ポール・トーマス・アンダーソンにしては彼のマグノリアに象徴されるようなような子役=親に搾取される、みたいな存在じゃなく、若きアントレプレナーとして描かれる。
昔の戦争映画に花を咲かせ、バイクに乗ってジャンプする得体のしれないショーン・ペンと相棒のトム・ウェイツ、バーバラ・ストライサンドの恋人?ほんとか?のブラッドリークーパー、ゲイの立候補者ベニー・サフディ。このへんは、最初わらうけど後で何度見るうちにその存在が立体的になるキャラだ。
家族の話でもない、と書いたけど、強いて言えば気になるのはゲイリーの弟の存在。PTAの映画で弟がモチーフになったのは「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のときくらい?でもあれは、偽物ってことで射殺した。ゲイリーの弟は逆にブラッドリークーパーに「殺す」と言われてゲイリーがキレる。でも、アラナの姉妹とは対照的に、あまり話すシーンがない。無条件でかわいい息子のような関係、、
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