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君たちはどう生きるかのArdorのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ユナイテッドシネマとしまえんにて鑑賞
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 ものすごくパーソナルに響く映画だった。マヒトが最後に内面の安定より、外を見て、仲間輪を作る、と決断するあたり。しかもキミコさんや青鷺のような。つまり、自分の内面や自分に近い人だけ見ていてはいけない。自分が最近大事なことを見失ってるな、と思ったけど、目に映って心を動かされたものを記述していかなければ、という思いと同期した。自分だって、マヒトのように自分を傷つける「悪い意志」がある。世の中から逃げるためにその意思を使いがち。
 そして母親を失い、母をまた見つける、ということを僕は40を超えているので、これからしなければいけない。母は存命だけどいつかその時が来る。
 しかし、「仲間を作る」とはなんだろう。僕は友達というのは一緒に過ごした時間の多さで後から気づくものだと思っていたけど、仲間とはちょっと違う。この人のために見返りを求めずになんかしたいということだろう。だろうか。

 映画が始まってからのマヒトが現れて急いで階段をおり、服を着替えに帰って、空襲のなかをかけ出すまでの、小柄な中学生の細かな動きにまずもう感動。その後後妻さんと会ってから諸々新居を紹介されているマヒトの抜け殻のような「動きのなさ」の動きがまた対照的で胸が締め付けられた。

 古い塔は実際に存在するけど、歴史が交錯して混在する場所で、若いキミコさんや母がいてナツコさんが閉じ込められているが、マヒトの整理のつかない内面。昔、「かいしゅうたちのいるところ」という映画があったけど、少年の冒険が全部落ち着かない6さいくらいの子供の内面世界を理解して整理して対峙していく話だった。そんな感じだけど、色々単純ではない。

 「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」あたりの現実世界から扉を開けてみたら、ファンタジー世界に繋がり、その世界は存在してるんだけど、子供の内面とリンクして成長を描く形になってる。これらの映画は楽しい話として好きだったけど、成長譚や通過儀礼としてもう一度見返したくなった。

 他の人の感想で、あれは黄泉の国では、という解釈があってそうかもと思った。積み木を積んで世界を平定するのも、なんか賽の河原のようだな、とも思ったし。

 でも、そんなとこで出会った、自分と同じくらいの子供の母親に「あなたを産むことになるなんて最高じゃん」て言われるのはどんな感じなの、という。バックトゥザフューチャーの若い頃のお母さんに好かれるのと同じくらい居心地悪い。。

 そして「新しいお母さん」を探しにいくマヒトの気持ちってどんなんなんだろ。「本当のお母さん」を探しに行って新しいお母さんを拒絶するのが子供じゃないのか。その辺のマヒトの心の機微が読めなかった。
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