【スポーツ映画のススメ】
クリード 過去の逆襲 (2023)
◆競技名:
🥊ボクシング
◆競技の舞台:
WBC世界ヘビー級選手権
〈本作の粗筋〉
・かつてロッキーが死闘を繰り広げた親友アポロの息子アドニス・クリード。ロッキーの魂を引き継ぎ世界チャンピオンとなった彼の前に、刑務所から出所した幼なじみのデイムが現れる。
・2人はかつて家族同然の仲間であったが、デイムはクリードの少年時代のある過ちによって18年間の服役を強いられ、復讐心に燃えていた。クリードは封印してきた自らの過去に決着をつけるべく、デイムとの戦いに向けて猛トレーニングを開始する…。
〈見処〉
①「ロッキー」サーガ最大の死闘、開幕
・『クリード 過去の逆襲』(原題: Creed III)は、2023年製作のスポーツ・ドラマ映画。
『ロッキー』シリーズのスピンオフとして、アポロ・クリードの息子アドニス・クリードを主人公にした『クリード』シリーズの第3作。
・本作ではアドニスの少年期の重大な過ちが描かれる本作では、アドニスを演じるマイケル・B・ジョーダンが監督も兼任、映画監督デビューしている。
・クリードの幼なじみで最強の敵となるデイムを「アントマン＆ワスプ/クアントマニア」のジョナサン・メジャース、クリードの妻ビアンカを前2作に続いてテッサ・トンプソンが演じる。
・シルヴェスター・スタローン扮するロッキー・バルボアは本作には登場しないが、スタローンは本作では製作に名を連ねている。
②ジョナサン・メジャース
・本作の敵役デイムを演じるのは、33歳の黒人俳優ジョナサン・メジャース。
・インディペンデント長編映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(2019)にて頭角を表し、翌2020年にはNetflix配信のスパイク・リー監督の戦争ドラマ映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』で、チャドウィック・ボーズマンと共演。
・さらにマーベル・シネマティック・ユニバースを舞台にしたDisney+のシリーズ『ロキ』(2021)、映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)では、シリーズのメインヴィランとなる「征服者カーン」として出演。最も勢いのある若手黒人俳優となった。
・しかしながら、本年の2月17日に北米公開された『アントマン＆ワスプ：クアントマニア』、同3月3日に北米公開の本作『クリード 過去の逆襲』の後に、ジョナサン・メジャースは、パートナーの女性に暴力をふるったとして、3月25日（現地時間）に逮捕された。
・まさに絶好調のメジャースに起きたこの出来事によって、4月17日には、メジャースは、所属していたタレントプロダクションから契約を解除され、米陸軍がメジャースを起用していた広告を全て削除したことを皮切りに、ファッションブランド「Valentino」の広告塔、テキサス州ダラスの野球チーム「テキサス・レンジャース」の2023年広告キャンペーン起用の見送りも決定。
・しかしながら、4月19日のVariety誌による独占報道を皮切りに、メジャースは無実で、誰も虐待していないという報道が相次ぎ、メジャースは5月8日の裁判でも容疑を否認。
・現時点でメジャースに残されたプロジェクトは、NBAのデニス・ロッドマン選手を演じる映画『48 Hours in Vegas』、スパイク・リー監督の最新作『Da Understudy』、そして過去にジョニー・デップとアンバー・ハードの裁判結果が出る前にデップを『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの新作から降板させ、世間のバッシングを浴びた経緯のあるディズニー社のマーベル・シネマティック・ユニバース作品。
・メジャースの次回審問は6月13日。これに出廷しない場合は48時間以内に逮捕状が発行され、最も悪いシナリオでは最長1年の禁固刑、または3年間の保護観察処分となる。
③結び…本作の見処は？
キルモンガーvs征服者カーンのバトルは？
◎:いまもっとも旬な黒人俳優ジョナサン・メジャースの存在感は、本作のふてぶてしい演技と肉体美でも披露されている。
◯: 日本のアニメを参考にしたという斬新なファイト・シーン。とくに序盤の肉体の歪みを表現したストップ&ゴーの演出は大変興味深い。
○: LA大観衆スタジアムによる、ラストファイトは、ロッキーシリーズ最大規模。コロナ禍での撮影は大変であっただろう。
▲: 異空間にバトルシーンを写すような演出は、完全にやり過ぎ。マイケル・B・ジョーダンの初メガホンの評価を下げているのでは？
×: 本作とロッキーシリーズとの連関は、ドラゴJr.の再登場と、クライマックスのロッキー・テーマのBGM程度。アドニスの苦境に妻と母ではメンターとして役不足、ロッキーが絡まないストーリー展開は異様。本作にて、ロッキーサーガ完結で良いの！？
