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ガンマン無頼のYYamadaのレビュー・感想・評価

ガンマン無頼(1966年製作の映画)
3.4
【ウェスタン映画のススメ】
ガンマン無頼 (1966)

〈本作の粗筋〉
・父を殺されたテキサスの敏腕保安官とバート・サリヴァンとその弟ジムは、仇を追ってメキシコへと乗り込む。その街を暴力と死の恐怖によって支配している権力者シスコこそ、彼らの憎き仇だった。
・やっとのことでシスコ邸に乗り込む二人だったが、弟のジムが実はシスコの息子であることを知らされたバードは、彼を殺すことができなくなり、テキサスに帰ろうとする…。

〈見処〉
①マカロニ・スター、フランコ・ネロ。
 25歳時の大ヒット・ウェスタン——
・『ガンマン無頼』(原題:Texas, Addio=「さらばテキサス」)は、1966年のイタリア・スペインの西部劇映画。
・主演は「マカロニ・ウェスタン」の大スター、フランコ・ネロ。『続 荒野の用心棒』『真昼の用心棒』に続くネロ主演の「男泣き」大ヒット古典作品。
・監督は『ダビデとゴライアス』フェルディナンド・バルディ、撮影は『逆襲!大平原』のエンツォ・バルボーニ、音楽は新進のアントン・ガルシア・アブリルが担当。

②マカロニ・ウェスタン
・マカロニ・ウエスタンとは、1960年代前半から70年代中盤にかけて、イタリアの映画製作者がスペインを中心としたヨーロッパの荒野で撮影した「ヨーロッパ製西部劇」の総称。イギリスやアメリカでは、これらのチープな西部劇を「スパゲッティ・ウエスタン」と呼んでいたものを日本の映画評論家の淀川長治氏が「スパゲッティではか細いイメージとなってしまう」として、同じイタリア料理からマカロニを引用して造語としたもの。
・『ベンハー』や『十戒』などのスペクタクルな大規模アメリカ映画が次第にヨーロッパにて撮影されなくなり、斜陽を迎えつつあったイタリア映画産業界が、低予算で娯楽作品に特化して大量制作されたマカロニウェスタンは、ジョン・フォードなどの米国産西部劇が勧善懲悪や建国神話を背景とするストーリーであったものに対して、アウトロー的主人公を配してより暴力的な内容となっている「アンチ・アメリカ西部劇」と言える。
・その原点と言える作品が監督セルジオ・レオーネ、主演クリント・イーストウッド、音楽エンニオ・モリコーネによる『荒野の用心棒』(1964)。黒澤明の時代劇『用心棒』の盗作とされ訴訟騒ぎになった本作であるが、低コストで仕上げるためスペインで撮影し、ハリウッドの駆け出し俳優の顔の極端なアップや特徴的なロングショットなどを使った個性的かつ残忍で暴力的なシーンを多用、口笛を使ったテーマ曲も一世を風靡し、映画音楽と絵との関係も変える作品となった。
・その後、約10年間に約500本の作品が乱作され、終焉を迎えたマカロニウェスタンであるが、それらは、ブラック・プロイテーションやスター・ウォーズなどのハリウッド映画や、日本の『必殺シリーズ』や『子連れ狼』などにも影響を与えている。

③結び…本作の見処は?
「権力者シスコ」のキャラ設定に痺れました。
◎: ダイナミックな画角にフランク・ネロのドアップ描写、歌唱ありのテーマ——黒澤明の『用心棒』パクり作品『荒野の用心棒』要素の「全部入り」とも云える「更なるパクり演出」は当時のマカロニ・ウェスタンの真骨頂。これらのキワモノ作品が文化となり、のちにタランティーノにより「オマージュ」という言葉に代替され、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)にフランコ・ネロがジェイミー・フォックスと「新旧ジャンゴ共演」を果たすジャンルとなっているのが面白い。
◯:「回収されない伏線が溢れている」「予定調和を超える予定調和」…脚本が「極上のご都合主義」すぎて、逆にストーリーの予測がたてづらい。とくに権力者シスコは、善人なのか悪人なのか、その判別のつき辛さは『スター・ウォーズ帝国の逆襲』~『ジェダイの帰還』を一瞬想起させつつ、最後には尻切れトンボ化させてくれる。
▲: 「女性はすぐに死ぬ」…男尊女卑が酷すぎるのは、当時の作品趨勢?
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ツッコミどころが多すぎるものの、「あえてやらかしている」確信犯の「タランティーノ演出」とさほど変わらぬ娯楽性…ということはパクりのパクり演出は、「正解」なのでしょう。
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