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ラスト サムライのYYamadaのレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.7
【アクション映画のススメ】
ラスト サムライ(2003)
◆ジャンル
時代劇アクション
◆類似作品
・グローリー (1989)
・ダンス・ウィズ・ウルブズ (1990)
・47RONIN (2013)

〈本作の粗筋〉 allcinema.netより抜粋
・明治維新直後の日本。政府は軍事力の近代化を図ろうと西洋式の戦術を取り入れることを決断。一方で前時代的な侍たちを根絶させようと企んでいた。そんな中、政府は南北戦争の英雄ネイサン・オールグレン大尉を政府軍指導のため招聘する。彼はさっそく西洋式の武器の使い方などを教え始めるが、勝元盛次率いる侍たちの不穏な動きに焦る政府は、オールグレンの忠告を無視し、急造軍隊を侍掃討に送り出す。
・しかし、経験不足の兵士は侍たちの反撃になすすべなく後退、ただ一人最後まで闘い続けたオールグレンは侍たちに捕えられ、山深い彼らの村へと連れて行かれるのだった…。

〈見処〉
①かつて世界がうらやむような、まばゆい男たちが日本にいた——
・『ラスト サムライ』は、2003年に製作された叙事詩的時代劇アクション。
・政府軍に西洋式の戦術を教えるため来日した米国将校が、時代に抗い自らの名誉に生きるサムライに感銘を受け、やがて彼らと運命を共にしていく姿を壮大なスケールで描かれた本作は、トム・クルーズが武士道精神をテーマに、自ら製作と主演を兼ねた米国産の日本時代劇。
・興行面・批評面ともに成功した本作における日本の興行収入137億円は、2004年度の日本で公開映画作品の1位。米国では戦闘シーンの苛烈さや、一部に介錯シーンなどを含むためR指定作品となったが、興行収入は1億ドルを突破し、2003年公開作品の中で20位を記録した。
・本作の物語はフィクションであるが、モデルとなった史実は、元政府の要人による叛乱という意味では、西郷隆盛らが明治新政府に対して蜂起した西南戦争(1877)が該当するとされ、トム・クルーズが演じる主人公ネイサン・オールグレンのモデルは、江戸幕府のフランス軍事顧問団として来日し、榎本武揚率いる旧幕府軍に参加し戊辰戦争を戦ったジュール・ブリュネとされる。
・共演は、渡辺謙、真田広之、小雪。日本の俳優が海外に進出する1つの契機を築く作品となったが、うち「勝元」役を演じた渡辺謙は、ゴールデングローブ賞助演男優賞、ならびに第76回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされる名声を得た。
・監督は『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』『ブラッド・ダイヤモンド』のエドワード・ズウィック。

②本作のロケ地
・本作のメインとなる村のシーンや戦闘場面はニュージーランドのウルティ・バレー。街中のシーンはハリウッドのスタジオで撮影された。
・仏閣のシーンは兵庫県姫路市にある「西国三十三所」第27番の古刹「書寫山圓教寺」で撮影された。

③結び…本作の見処は?
ハリウッド発「トンデモ・ジャパン」最高作品
◎: 撮影当時40歳、『Mi:2』『バニラスカイ』『マイノリティ・レポート』とヒットを連発し、新興思想集団「サイエントロジー教会」スキャンダルの直前とあたる「第二期黄金期」といえるトム・クルーズを凌駕する演技を魅せる渡辺謙。とくに「大往生」を迎える終盤シーンの存在感は、尋常ではない。本作から世界へ——
◯: 富士山のロケーションなど摩訶不思議な世界観の描写にあって、日本人の美徳感や明治天皇の尊厳と苦悩など、一概に「トンデモジャパン」と片付けられない作品メッセージがある。
◯: 明らかに海外ロケ地の場面が多い作品ながら、兵庫県「圓教寺」によるロケ場面は、大変神秘的で美しく描写されている。撮影から20年経った現在でも当時と変わらぬ佇まいを魅せる素晴らしき寺院。観光地化されている「清水寺」よりも、未訪問の方は、ぜひ「圓教寺」へ。
▲: 監督はじめアメリカ人スタッフが「間違っているのは解っているが、どうしてもニンジャを撮りたい」という要望を受けて描かれたニンジャ集団の存在が、作品にマイナー臭を植え付けている。
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