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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.8
【サスペンス映画のススメ】
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
(2023)
◆サスペンスの要素:
・利権や人種差別が複雑に絡み合う叙事詩

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・1920年代、オクラホマ州オーセージ郡。先住民であるオーセージ族は、石油の発掘によって一夜にして莫大な富を得た。
・その財産に目をつけた白人たちは彼らを巧みに操り、脅し、ついには殺人にまで手を染める…。

〈見処〉
①「花殺しの月」の夜、先住民を
 標的にした連続作品の幕が開く——
・『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、2023年製作の犯罪映画。実話を基に描いた西部劇サスペンス。
・ジャーナリストのデビッド・グランがアメリカ先住民連続殺人事件について描いたベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作に『フォレスト・ガンプ一期一会』などの脚本家エリック・ロスとスコセッシ監督が共同脚本を手がけた。
・監督はマーティン・スコセッシ。主演はレオナルド・ディカプリオ。共演はロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン、ジェシー・プレモンス。
・本作は当初2018年に撮影開始予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行などで、大幅に製作が停滞。さらに製作費が2億ドルに達することに配給のパラマウント映画が懸念を抱いていた為、スコセッシは、製作費が2億ドルに達することにパラマウントが懸念を抱いていた結果、Apple TV+が共同出資に応じたことで、プロジェクトは進行された。

②スコセッシと「二大俳優」
・現在80歳、アメリカ映画界を代表する巨匠マーティン・スコセッシ。45作品の監督作品を手掛けた彼にとって欠かせない俳優が本作で共演するデニーロとディカプリオ。
・3人のキャリアの交差は1993年の『ボーイズ・ライフ』にてディカプリオと共演したデ・ニーロが、スコセッシに紹介したことに始まる。その時期を境にスコセッシの「贔屓俳優」はデニーロからディカプリオにシフトされるが、本作は二人が共演する初の「スコセッシ作品」となった。

◆ロバート・デ・ニーロ
❶ミーン・ストリート (1973)
❷タクシードライバー (1976)
❸ニューヨーク・ニューヨーク (1977)
❹レイジング・ブル (1980)
❺キング・オブ・コメディ (1982)
❻グッドフェローズ (1990)
❼ケープ・フィアー (1991)
❽カジノ (1995)
❾アイリッシュマン (2019)
❿キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
(2023)

◆レオナルド・ディカプリオ
❶ギャング・オブ・ニューヨーク(2002)
❷アビエイター (2004)
❸ディパーテッド(2006)
❹シャッター アイランド(2009)
❺ウルフ・オブ・ウォールストリート
(2013)
❻キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
(2023)
❼The Wager: A Tale of Shipwreck, Mutiny, and Murder(未定)

③結び…本作の見処は?
「観る人」と「観る時」を選ぶ作品。配信鑑賞は途中離脱リスクがあり、劇場鑑賞を強くオススメします。
◎: アメリカ人でさえも認知されてこなかった先住民搾取の「闇歴史」を描く一大叙事詩。その描写はオセージ族の視点で描かれ、206分の長尺作品ながら、時間の経過を忘れ、終始同じ熱量で鑑賞出来る作品。
◎: 実は「クズ役俳優」レオナルド・ディカプリオが演じるアーネストの二面性、本作でオスカーノミネートの期待出来る新鋭女優リリー・グラッドストーンによる静かで力強い信念。ハリウッドの生きる伝説、ロバート・デ・ニーロが扮する、老獪な白人名士ヘイル。信頼と不信感の狭間で揺れる三人三様の演技合戦は大いな見どころ。
○: 複雑な叙事詩を強引に締めくくるスコセッシによるラストの演出が実は最大の見どころだったりする。
▲: 長尺ながら集中力が持続出来る作品ではあるが、「そろそろクライマックスかな!?」と思考が及ぶタイミングで登場する、大物俳優ジェシー・プレモンスとブレンダン・フレイザー…「えっ、まだ続くのかいな!」と思った瞬間が最もサスペンスな瞬間でした。
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