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ナポレオンのYYamadaのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.6
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ
◆作品名:
ナポレオン (2023)
◆主人公のポジション
皇帝に上り詰める若き司令官とその妻
◆該当する人間感情
 恍惚、畏敬、嫌悪

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・18世紀末フランスの若き軍の総司令官ナポレオンは夫を亡くした女性ジョゼフィーヌと恋に落ち結婚するが、奔放なジョゼフィーヌは他の男とも関係を持ち、夫婦関係は奇妙にねじ曲がっていく。
・その一方で英雄としてのナポレオンは快進撃を続け、ついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰める。政治家・軍人のトップに立ったナポレオンと、皇后となり優雅な生活を送るジョゼフィーヌ。2人の心は満たされないまま、ナポレオンは戦争にのめり込み、凄惨な侵略と征服を繰り返すようになる…。

〈見処〉
①その男は英雄か、悪魔か——
・『ナポレオン』は、2023年に公開された伝記映画。
・『グラディエーター』の巨匠リドリー・スコット監督が『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを主演に迎え、フランスの英雄ナポレオン・ボナパルトの人物像を新解釈で描いた歴史スペクタクル。
・妻ジョゼフィーヌ役に「ミッション:インポッシブル/フォール・アウト」でキーパーソンのひとり、ホワイト・ウィドウを演じたバネッサ・カービー。『ゲティ家の身代金』でもスコット監督と組んだデビッド・スカルパが脚本を手がけている。

②結び…本作の見処は?
◯: 1793年のマリー・アントワネットの処刑シーンから始まり、1821年にナポレオンが没するまでの約30年を158分の上映時間に凝縮した歴史大作。そのストーリーは「叙事詩」よりも、ナポレオンとジョジェフィーヌの関係を掘り下げた「叙情詩」という点が興味深く、集中力を切らさずに鑑賞出来る作品に仕上がっている。
◯: ストーリーテラー面も担う「陰の主役」ジョジェフィーヌを演じたバネッサ・カービー。『ミッション・インポッシブル』シリーズの大味な演技から変わって、複雑な感情を顕にする難しい役どころを見事に演じている。
▲: 製作費2億ドルを投下し、史実である「トゥーロン攻囲戦/1793年」「ピラミッドの戦い/1798年」「モスクワ遠征/1812年」そしてクライマックス「ワーテルローの戦い/1815年」まで、所々にリドリー・スコットらしくスペクタクルなシーンが垣間見れるが、各パートのカット時間が短く、戦争映画としてのダイナミックさは感じられない。本作の印象的なシーンはほぼ予告編で観れてしまい、「叙事詩」としてはいささか拍子抜けな仕上がり。
▲: 「英語を話すナポレオン」。ハリウッド資本による本作のナポレオンは、ジョゼフィーヌに精神依存する屈折した男性として描かれ「皇帝」まで上り詰めた天才的な戦術眼や卓越した政治力はイメージ出来ない。フランス人が抱く自国の英雄像とは大きなギャップがありそうだ。
▲: ナポレオンの半生を描く作品として、
ホアキン・フェニックスは歳を取りすぎていると感じずにはいられない。
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本作を制作したアップルは「4時間版」編集を予定しているようなので、こちらを期待したい。
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