ひとりごとです

ゴジラ-1.0のひとりごとですのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

その姿はとても美しくて
神秘的でどこか儚かった

「ゴジラ」
呼ばれる名前があって
既にその存在を知るものがいる
目が合いながらも様子を伺うその生物に
銃を向け攻撃したのは人間

あの瞬間が初めての出会いや接触では
無かったとしても
勝手にとても悲しく思った

自分よりも大きく未知で
怪獣と姿が似ているそれは、目の前にすると手は震えて恐怖が湧き上がる

ゴジラにも怒りに見える行動があるのであれば、人間と同じように他の感情もあるのだろうか
寂しくて痛くて怖くてどうしたらいいのか不安で、わかるのは目の前を動きまわる生物が自分に痛みを感じさせるという事実だけ

この生き物が、この物体が
自分を傷付けていく

破壊して、破壊して、
その存在をそいつらに刻み込んでいく

絶対的な存在 どう足掻いても敵わない
絶望の淵に光る希望は
人々を繋ぎ合わせていく
笑顔が生まれて情熱が湧き上がり
その心は一つにまとまっていく

ゴジラにはその一つもなく
ただ、寂しい気持ちになる

この感情はこのゴジラという作品に抱いて良いものなのか定かではないけれど
その対比がとても切なかった

人間を食べるわけでもない。生き物や物体を無差別に壊しているのではない。
確実に自分に危害を加える存在への行動だった

ゴジラの叫びも、光も、攻撃も
何かとても大切なものの塊なような気がして
憎しみややるせなさや苦しみや悲しみ
ゴジラという大きな怪物はそういう人間の重くて抱えきれない何かが集まっているもののように思えて

やられる前にやるんだ

誰かが貧乏くじを引かなきゃなんねーんだ

誰かの未来を守るんだ
誰かの仇を取るんだ

そうして人間は強くなれる
前へと進める

最強で無敵の自分よりも数倍大きな生物に

ゴジラは初めて人間と出会ったその時から攻撃的だったのかな
植え付けられた記憶はお互い小さな種から芽生えてそのまま根を生やしていく

どうして戦わないといけないの
わからないから、わからないって怖いんだ
人間もゴジラも。

目の前の現実って想像よりも数倍大きなものだろうし、綺麗事でしかないという思考がよぎるけれど

ゴジラを囲む
小さな身体で絆を一つにして戦う人達
その構図に胸が痛んでしまった

俺たちの戦争を終わらせる

それはお前に責任を取らせることではなく
俺の仕事を全うすること
俺の仕事は整備して、お前の命を守ること
そこまでがきっと
俺の戦争

だから自分の部下たちが命を落としたその原因の一部を作った彼を許すでもなく認めるでもなく
彼が飛ぶために手助けして、彼がそのあと無事に機体から脱出できたことに
心から喜ぶ

その姿がとてもとても素敵だった

戦う相手は誰なんだろう
それで一つになることの美しさってある

だけどそれは本当に敵なのか

もう起きている現実は事実は変わらない
人間の世界を破壊していくその生物は
敵と見なされてしまうのは避けられない
その根源を見たって、今、そこで起きている事実はそれでしかないから

でも、だけど、が浮かぶ

泳いでるゴジラ愛おしすぎる