このレビューはネタバレを含みます
出遅れたけれど見た。噂通りの怖い破壊神。典子の電車ガラスに近づくゴジラが映るシーンに、歩みを止めないゴジラに伊福部昭のテーマが流れるシーンなど。ゾクゾク。シン・ゴジラより禍々しい怖さ。
でも、モヤモヤも多々。最後にとってつけたような再会やら、あんなに直接放射線を浴びて黒い雨も大丈夫か。それに国は腐った組織でも、民間の皆で（時代だからか男だけ）力を尽くせば戦争で失った誇りも取り戻せる…というね。
野田博士が先の戦争では日本が人命を軽視し、兵站が悪く戦死は飢えと病気によるせいだ云々と国の戦争責任を批判し、秋津船長が国の隠蔽姿勢を、敗戦後も何も変わらないと言う。
整備兵の橘（青木さん、いい面構え「生きろ!」）とか、次第に研ぎ澄まされた表情になっていく敷島（神木さん、別人のよう）とか、おそらく徴用船で戦場にいた秋津（いかにも昔の湾岸下町育ちの佐々木さん）とか、役者は昭和の佇まいまで体現しているのに。
確かに反戦、反人為。ゴジラは冷戦下のビキニ環礁核実験で、不死身の放射線をまき散らす破壊神と化した、というところはしっかり継承してるし。
なのに、なんだろう。（確かに説明セリフ多過ぎ）
でも海溝に沈んでゆくゴジラの目は死んではいなかった。そこに感動。いつかは蘇り、また襲いかかるのか。
盛んにポップコーンとか「ゴジラ…」のつぶやきとか、周りの音が途中から消えた。若い人たちが戦争記憶しててくれるだけでも良いですよ（私も戦後生まれだけど）
