かつきよ

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)のかつきよのレビュー・感想・評価

4.0
◆雑感

面白かったです!!!!
現行作品のオリジナル劇場版であるコナン映画は、本筋に関わるような直接的な展開はなかなかできないのがネック。本編というよりはサブストーリー的な「見ても見なくても本筋の進度には影響しない」作品になりがちですよね。
そんな中でも、今回の「黒鉄の魚影」はかなり特盛の内容だったんじゃないかと感じました。vs黒の組織を取り扱う方向性はチェイサーとナイトメアで確立していますし、映画を見なくても連続アニメ版(漫画版)の鑑賞に影響が無い点では今までと同じ「劇場版」の方程式に則った作品です。それでも劇場に足を運び、鑑賞する価値のある作品になっている!そう思わせる説得力と豪華さが、この映画にはちゃんと存在していました!具体的に挙げるなら

⚫︎アクション
⚫︎キャラの魅力(特に哀ちゃん)

この二点が魅力の大部分を占めていました
劇場版でしか見られないやりすぎド派手なアクション!大画面で見ているだけで、迫力に飲み込まれてテンションが上がります

あとは、なんと言っても今回のメインヒロインの哀ちゃん……!哀ちゃん好きのための映画と言っても過言ではない魅力の押し出し方……
初心者でも楽しめる映画というよりは、ファンのための映画に振り切っている感じで、情熱的な映画でした

⚫︎舞台
⚫︎人間ドラマ

次点でこの二つ。
劇場版ということでさまざまな要素があり、劇場版限定キャラクタの掘り下げは中々に浅くなりがち。そういった意味では人間ドラマはそこまでのポイントではなかったのですが、既存キャラクタの設定や過去と連動させる演出がうまくハマっていて、個人的には鑑賞中もぐいぐいと興味が掻き立てられたので、高得点だと思いました。
逆にいうと既存キャラの設定はある程度把握していることが前提の構成であり、知っていれば知っているほど面白いタイプの映画だったとも評価できると思います。

⚫︎推理ショー
⚫︎殺人トリック

この辺りは一応盛り込まれてはいましたが、なんというかおまけ程度。コナンの通常回と同程度のクオリティは担保されていましたので、お粗末には感じませんでした。映画作品によってはミステリや推理の要素が全くないものもあるようなので、今回も黒の組織との真っ向対決ということで謎解きパートとかは無いのかなと思っていましたが、意外ときちんと演出されていたなと感じました。

その他、ネタバレ有の感想は最下部に置いておきますので、まずはネタバレなしの感想と所感でした。

◆コナン初心者には向かない

敢えてこの項目を書かせていただくのは、私自身がコナン初心者だからです。
コナンの知識は小学生時代で止まっていた私ですが、今回は劇場版鑑賞に向けて、履修した方がいいと言われている作品を調べ、鑑賞しました。
幼い頃に見たコナン映画は、1話完結型というか、とりあえず事件があって、展開があって、、、
「コナンが実は工藤新一で、ヒロインは蘭姉ちゃん」位の知識があればそれなりに楽しめた印象でした。

しかし、コナンサーガ(とも呼べる)レベルのメディア展開を果たされた昨今、新作映画はコナン知識10/100くらいでも楽しめるのか?と疑問に思う方もいるはず。(実際に私はそうでした)
結論から言うと、今回の作品は、コナンの知識がある程度ないとキツいのではないかなと感じました。
特に、今回の映画でピックアップされる「灰原哀」ちゃんに関しては、当たり前ですが、今までのコナンくんとの関わりを知っていれば知っているほど映画の解像度も上がります。
一方で、例えば哀ちゃんの両親に関する情報なんかは、知らなくても映画鑑賞に全く問題はないですし、赤井さんや安室さんに関しては、(昨今の作品人気の影響を受けて当然のように出演しているわけですが)「お助けキャラ」程度の出演なので、表面上のプロフィールさえわかっていれば映画の解像度にそこまで影響は与えません。複雑な事情や設定まで知っている必要はないわけです。
他にも、最近の作品ではサブメイン級で関わってくる世良真澄ちゃんは登場がないので履修しなくてもよかったり、かと思えばアニメ版1077話〜のストーリーで明かされるRUMの正体は分かっている事が前提の演出があるので履修が中途半端だと思わぬネタバレになってしまったり、、、

何の知識を知っていれば映画がより楽しめるのか、逆にどんな要素のネタバレが含まれているのか、登場キャラクタについての情報を次項にまとめましたので、もし「映画は見に行くけど、最近のコナンの情報は不安……」「映画を見たけど、それぞれのキャラがよくわからなかった」という方のご参考になれば幸いです。
また、今回のメインキャラクターである灰原哀ちゃんと、黒の組織の中でも活躍が多く特殊な動きをするベルモットに関しては、履修するのにおすすめのアニメ回を、重要度のレベル分けをして2つ先の項目でまとめておきます。アニメ見る時間ないよ!という方のためにそれぞれの回の簡単な展開と、判明する情報などを「ネタバレ解説」と記載の下部で紹介します。コナン履修済みの方でも、軽くおさらいしたいなぁという方がいらっしゃいましたら、助けにもなれたら嬉しいです。

◆サブマリン鑑賞前に知っておくべき情報

〇灰原哀

黒の組織から逃れ、コナン陣営に匿われている科学者です。みんな大体の事情は承知だと思いますが、彼女の情報が詳しくわかるストーリーはコメント別にまとめておきますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。特にコ哀要素が強い作品名の下には《コ哀聖地巡礼回》と記載しておきます!今回の映画でコ哀に目覚めた方も多いと存じますので、ぜひ参考にしてみてください。
コ哀回には、今回の映画中でも回想が挟まれるストーリーもございますので、未チェックのストーリーがあればぜひ鑑賞してみてください。知っていると、映画鑑賞中「あのシーンだ!」となれるはずです。
もし最低限の履修で済ませたい場合は、23年1月に公開されたTV総集編の『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン』がおすすめです。…が、所々重要な情報が抜けているので、より丁寧に灰原哀ちゃんが知りたい方は、コメントを是非チェックしてみてください。各話重要度や、見なくても最低これだけは知っておいてほしい!という情報のネタバレ解説も併せて記載しておきます。

〇RUM

アニメ779話からはじまる緋色シリーズで初めて名前が言及された黒の組織のナンバー2。警視庁関係者の黒田兵衛、コナンのクラスの副担任・若狭留美(うる星やつらのラムちゃんの声優さんが務めておられます)、毛利探偵事務所の隣の寿司屋の板前・脇田兼則の3人が怪しい動きを見せており、ラム候補とされていました。
初言及の約200話後からはじまる1077話「黒の組織の謀略」シリーズにて正体が判明します。今作の映画では、RUMの正体はわかっている事前提で、RUMとして本当の顔が思い切り出てまいりますので、先にアニメでRUM候補に関するあれこれの展開を追ってから映画を見たい!という方は注意です。

〇黒田兵衛(くろだひょうえ)

RUM候補の中でも、黒田兵衛は今回のメインとして序盤からガッツリ関わってきます。目暮警部や佐藤刑事は、白鳥刑事は知っていても、最近のコナンを見ていない方からすると「このヤクザ誰だ……?」ってなると思うので、顔と名前と立場とRUM候補だよってことだけでも知っておくかといいと思います。
コナンの正体を知っている?のかはわかりませんが、毛利小五郎ではなくコナンが

〇赤井秀一

彼に関して予習しようとするとすごく大変なのですが、今作の映画では、いいところで助けてくれるだけなので、「凄腕のスナイパーで、FBIで、コナンの味方」程度把握していればOKです。+αで「かつて黒の組織に潜入していた経験があり、その時のコードネームは〝ライ〟」も覚えておけば赤井秀一系のネタはだいたい拾えると思います。安室徹とは複雑な因果で(語弊はありますが)犬猿の仲的な奴です。もし彼について詳しく知りたい場合は、491~504話の「赤と黒のクラッシュ」、779~783話の「緋色」シリーズは外せないストーリーです。

〇キール

組織の女構成員。冒頭の紹介セリフで思い切りネタバレされますので、万一キールに関して何も知らない方で、ちゃんと自分で見て知りたいよ!という方はアニメ425話「ブラックインパクト! 組織の手が届く瞬間」と、491~504話「赤と黒のクラッシュ」を必ず見ましょう。

※※※ネタバレ有り解説




キールは黒の組織にはいますが、CIAの潜入捜査官であり、コナン君陣営に密かに協力している立場です。本当はいい人。
父親も一緒に潜入捜査していたのですが、二人の正体がばれそうになった時、父は娘を守るために目の前で自殺。「ある男がCIAの潜入捜査官だったことに気づいたキールが追い詰め殺害した」というストーリーに仕立て上げることで、彼女自身は身バレする事もなく、キールというコードネームをもらって出世します。父が目の前で自殺してまで守り通した娘の秘密。……かなり重い過去ですよね。父の意志を継ぎ、キールは組織に潜入し続けています。このくだりは今回の映画でも重要になりますので、理解しておいた方がより映画を楽しめます。
(因みにキールの父の声優は小山力也氏です。放送当時はまだ小五郎の声優は神谷明氏だったのですが、声優交代後の今となっては、片方は故人キャラとはいえVC被りになっています)

〇安室徹

彼に関しては皆さんもうご存知のことと思いが、仮に知らない人がいたとしたら冒頭で思い切りネタバレされますので注意です。彼は毛利小五郎に弟子入りした私立探偵ですが、その正体は……
701~704話 「漆黒の特急」シリーズ、779~783話の緋色シリーズを確認しましょう

※※※ネタバレ解説




彼は公安の一員で本名は「降谷零」という名前です。現在は黒の組織に潜入しており、「バーボン」という名前で動いています。主にベルモットと共に行動しておりますが、基本的にはコナン君の味方で、情報をリークしてくれます。ざっくり言うと、赤井が親友を殺したと思っており(厳密には少し違う)、赤井を恨んでいます。

〇ベルモット

初期から登場する黒の組織の女幹部です。
敵、なのですが……
彼女の動きは特殊で、よく知っていないと行動原理がわかりづらいです。灰原哀ちゃんと同じく、彼女の設定がよくわかる回(と解説)はコメントでまとめます。


―――――――――――






◆以下は映画本編のネタバレ感想

















ーーーーーーーーーーーーーーーネタバレ有














◆オリジナルキャラクター関連

○直美・アルジェント/老若認証システム

今回のオリジナルキャラクターで一番目立っていた役。声優さんに種崎敦美さん起用は手堅い布陣すぎますね。
開発した老若認証システムはベルモットの変装に騙されて役立たず認定されてたけど、実際にこの世の中にはめちゃくちゃそっくりさんとかいるわけだし、普通に実用には耐えなさそうと思ってしまいます←
世界中の防犯カメラと繋げるとか、それは権利的に可能なのかとか、プライバシーどうなってるんだとかは気になる点。パシフィックブイも、そういう意味で場所は非公開なんだろうけど、とりあえず、警視庁関係者はまだしも迷い込んだ子供をあんなに気軽に見学させちゃダメでしょ笑
ツッコミを抜きにして、そういうものだと受け入れたとしたら、まあ、すごい発明ですよね。過去に失踪した人を探せるかもしれないとか、犯罪者の発見が容易になるかもしれないというのはまあその通りですが、それにしても灰原とコナンには迷惑すぎるシステム。システムの発想はひたすら面白いなと思いました。

直美ちゃんが何故か灰原哀と宮野志保ちゃんの写真を持っていたことで、灰原哀=宮野志保?と組織に気づかれる流れは絶体絶命すぎてびっくり。
何故直美が灰原哀の写真を持っていたのか、ついでに言うと、哀ちゃんもテレビで直美を見た時に既視感を覚えたのは何故なのか、というのが前半部分のリード。2人の関係は?という点は面白かったです。
結果的に、直美ちゃんは宮野志保ちゃんのアメリカ時代の同級生だったわけです。親しかったわけではなく、いじめを助けてもらった感謝と、代わりのターゲットにされたのに見て見ぬ振りをしてしまった後悔から、一方的に宮野志保ちゃんのことを覚えていたんですね。

哀ちゃんの家族は全員死んでいますし、過去を知る人物は殆ど存在していないため、小学生時代のエピソードが回想付きで出てくるのは初めてで何気に衝撃的でした。人気キャラではございますが、原作アニメが1000話超えてもまだまだ情報が不透明なところも、哀ちゃんの一つの魅力なのでしょうか。

灰原哀ちゃんに関しては、アメリカに留学しており、東洋人の顔立ちから嫌がらせを受けていたという設定は以前からありましたが、その掘り下げが行われた内容でしたね!直美ちゃん視点では、いじめのターゲットがうつり、助けられなかった事を後悔するレベルだったという事で、ある程度しっかりしたいじめを受けていたのかな?とは思いますが、当時の志保ちゃんがどう対処していたのか、どの様な環境だったのかが気になる所。
黒の組織のトラウマに対して、小学生時代のいじめの話題なんてほとんど出てこないですし。
今回いじめを助けた過去エピソードの雰囲気からも、志保ちゃんはリアル小学生だった時も大人びた価値観を持っていたのかなと想像できます。「幼稚な行動」と一蹴して、いじめはそんなに意に介していなかったのかなと思いますし、そうあって欲しいです。どちらにしろ黒の組織での経験に比べたらどうともないことだったのかなと。
実際小学生時代のことがトラウマになっていたら、自分がいじめられるきっかけになった張本人であり、そのあと見て見ぬ振りをかましてきた直美・アルジェントの顔も名前も忘れるわけがありませんから。

直美さんは直美さんで、灰原哀ちゃんに対していつかありがとうを伝えたいと思っていた所までは美談で済みますが、老若認証システムというプライバシー的にかなり細心の注意を払わなくてはいけない際どいシステムを、開発者本人が真っ先に私的利用してしまうのはどうなんでしょう笑
しかもそのせいで哀ちゃんにしっかり迷惑がかかっているという笑

最終的には哀ちゃんの正体に気付いて、感謝を伝えられてよかったですね、とは思うけれど、脚本的な理想を言えば「小学生時代の借りを返す」形で直美が愛ちゃんを助たらもっと良い脚本だと思えたかも……とは思いました。
結果的に直美ちゃん、過去においても助けられて、その代わり志保ちゃんが被害を被って、今回も直美ちゃんのせいで灰原の正体がばれそうになって、助けてもらってる訳ですからね。
細かいところですし、そんなことはどうでも良くなるくらいめちゃくちゃニヤニヤの展開だったので大満足ですが、直美ちゃんに関してはこんな感じです。

○ピンガ

今回の新黒の組織のメンバー。RUMのお気に入りということで、相当な手だれなはずなのですが、正直あまり魅力は感じなかったなと思うキャラクター。
好きなのは中の人(村瀬歩)ぐらいです。
ピンガがパシフィックブイに変装して潜入していることはメタ的に予想できると思いますが、じゃあ誰がピンガ?となった時、村瀬歩ファンなら多分気づいてしまうんですよね……だって、男の声優さんなのに女のキャラやってるなんて、声優を使ったトリック仕掛けてますって言ってるようなものじゃないですか!!
とはいえ、「あれ、グレースさんの女性声優、好きな声だ!知ってる……!えと、、、村瀬歩!………………男性声優!?」ってなって、一瞬で判別できない位には女性キャラがハマってたし、一緒に見に行った人は完全に女の声だと思ってた!といってたので、村瀬歩さんってやっぱりすげぇんだなと思いました。

RUMのお気に入り、というポジションでの登場でしたが、いうほど有能には思えなかったキャラですね。映画キャラということで、映画内で殺さなきゃいけないので、基本失敗させるしか無いしあまり魅力的にできないのはしょうがないのかな。
数の数え方・指の本数ネタはコナン頻出問題。普通「これで!」と言って人差し指と親指を立てたりはしないでしょう

最後は認証システムからコナン=新一に気づいて、その情報をボスに提供しようとするピンガですが、ジンに見限られて爆死。
情報を持ち帰れたとしても、ベルモットによって認証システムの信頼性が失われたあの段階では、何の成果にもなっていなかったでしょう……。映画限定黒の組織という時点でお察しですが、色々不遇なキャラ。
散り際に、悔しがったり喚いたりするのではなくて、ニヤリと微笑むのはいい演出だと思いました。

○レオンハルト

諏訪部様の無駄遣い笑
一応コナンミステリーとして付けておいた殺人要素の被害者。
高圧的、人種差別発言など、殺されてもいい様に()ヘイトを詰め込んだキャラクタ。
普通こんなパーソナリティのやつがパシフィックブイの職員として採用されないと思うけど……口が悪いだけで根はいいやつだったのかは謎。
変装された時の、カップの口を親指で拭う動作は気づけなかったです

◆既存キャラクター

○灰原哀

今作のヒロイン!
100億の女。コナン映画で興行収入一位とは圧倒的すぎて恐れ入る。キャラ人気高いのは納得だけど、まさかここまでとは。
かわいい哀ちゃんが見たい、という人は、他の要素度外視で10000点評価は硬い映画。劇場版の宿命で、関係性に変化があったり、重要な過去が明らかになったり、そういう事はないんです。
「灰原哀、絶体絶命」だけど、「絶対死なない」じゃんかっこわらい、というツッコミすら超越する哀ちゃん回!!!

正直、コナンによるメガネ貸与とかはあったものの、途中までは普通だなと思っていました。出番は多いし、かわいいし、攫われたりはするけど、それも助かるんだろうし、映画として期待値は超えないなぁと。
でもね、最後はね、もうね……
江戸川くん!!!!!!

囚われてる最中も、ずっと江戸川コナンを信じて……
哀ちゃんがコナンくんを頼る時、守られるものの弱さじゃなくて、信じる強さを感じられるから好き。

コナンくんがまた危険な自爆行為をする中、あと先のことは考えずにとりあえず助けにいく哀ちゃん!!尊し
コナンには自分の命を賭してでも哀ちゃんを助けるっていう選択肢しかないように、同じく哀ちゃんも自分の命を賭してでもコナンくんを助けるっていう選択肢しかないんでしゃうね。そもそも、哀ちゃんは何度も死に直面して受け入れて来た度にコナンくんに助けられて来て今ここにいるわけだし。自分の命が、コナンの命を守るために使われたらそれは自分の生に意味があった事だからむしろ幸福なこととか、そこまで思いそう。何度でもそんな哀ちゃんの事、バーローって言って欲しい😭

道もなく右も左もない広大な海の中で、よく溺れてるコナンくんを見つけられたなぁというのは多分誰もが思うところ

「あなたは覚えてないでしょうけど、キス、しちゃったのよ」

意識しまくりの哀ちゃん!
こんなん完全に好きじゃないですか……
多感な18歳、そりゃそういう気分にもなる。胸キュンすぎる〜
正直人工呼吸までは、あるあるな展開だったし、うわぁー!!とは思ったけど、ほぼ期待通りだなってくらいで魂は荒ぶらなかったんですよ。
でも、誰よりも、あの哀ちゃんが、意識しちゃってる!!挿入されるセリフの一言一句、そして林原さんの演技……
ガツンと、意識の本体ごと殴られた気がして
ああ、このシーンのためにこの映画あったんだなと思ってもいいくらい。沁みました

バス爆発事件以降、「自分の運命から逃げない」選択をし続けてきた灰原哀ちゃんだったけど、今回またすぐ死のうとしてる……
ただ、今回は、完全に、子供化含め正体がバレたと思ったわけだから、そりゃ運命と向き合うどころじゃないという心理はまっとう。
そうであっても、絶対に守ってやるから、そんな顔すんじゃねぇ、バーローと声も出さずに念話で伝えてくるコナン。ご都合念話はツッコミどころありすぎるけど、そんな事如何でも良くなるくらい精神掻き乱されてるシーンなので、もうなんでもいい。コナンくん、王子様すぎますね。若干哀ちゃんも、またこうやって救ってくれるというか、守るって誓ってもらえるの分かっていてクセになってる可能性に友達が言及してました笑

ラストで謎に倒れてる哀ちゃん
コナンが人工呼吸しようとして、スッと拒否するシーンは笑いました
あれ?何してるの??と思ったけど、蘭が来たらすかさずキス笑
え??どういうこと???笑
と混乱したけど、灰原的には、新一とのキスを返したって事なんですね。
いやいや、キスは返せないでしょとか、貸与できないでしょとか、それで新しくキス増やすのはどうなのかとか、色々思いはしたけど、それよりも義理堅くどこまでも蘭と新一のカップルに対してまっすぐな哀ちゃんは切ない。切なくも、愛。愛ちゃん。。。
本当にコナン映画スタッフは、あの手この手で斬新なシーンを入れてくれる……今回のサブマリン、理詰めじゃなくて、ちょっと強引というか、箍が外れてる感じがたまらなくいい塩梅で好き。劇場版の無礼講のラインの読み方が最高に絶妙。琴線に触れるどころか琴線をなぞるクオリティです

哀ちゃん……ありがとう……。

○コナン

みんなでホエールウォッチングにきたのに、勝手に抜けてパシフィックブイへ。勝手な行動が目立ちすぎ!笑
黒田さんが居なかったらブイに入れてもらえなかっただろうし、流石に潜入まではできないだろうけど、如何するつもりだったのか。

そして、また哀ちゃんにメガネを貸してあげるムーブ。CMやPVでも取り上げられていたシーンです。
コ哀にとっての聖地シーンの再現は純粋に熱い。
しかも、わざわざメガネを貸さなくても、現在、哀ちゃんは哀ちゃんで予備の眼鏡をもうすでに携帯しているのに、わざわざ自分のを貸すってどういう事。流石にそれは彼氏ムーブすぎる。

1号機を掛けていると絶対に正体がバレないご利益付きとはいうけれど、
ピスコの時はバレたじゃない(黒の組織との再会シリーズ)と突っ込まれますし、実際今回もバレて連れ去られてるから、むしろコナン以外には呪物になるのでは?(結果的にコナンが助けて身バレが防げてるからやはりお守りとしての効力はあるという事でいいのか……)

哀ちゃんを助けるために奔走する姿よし
潜水艦はあったんです!!と主張するけど信じてもらえないシーンがもどかしい
警察にも協力しまくって、だいぶ特別扱いされてるけど、こういう時はしっかり子供として扱われる

バーボンと赤井さんを電話越しに会話させるのは、ファンサービスがすぎますよコナンくん!!
お互いがバーボン、ライと呼び合う展開はこのあたりのファンへのサービスですよね。2人はがっつり絡んでこなかったものの、サービスシーンもあり、(特に赤井さんは)かなり重要なシーンできっちり活躍する塩梅は好き。

ラスト魚影を赤井さんに認識させるために放った花火っぽいやつはなんの機能ぇしょうか
アニメちょっと、履修したけど、あの機能についてはちょっと履修できてなかったです。本来は如何いう機能なのか、海の中であんなに広範囲を照らせるものなのかは疑問有
絵的に綺麗なシーンではありました
海の藻屑と消えるコナンくん。危ないことにグイグイ首を突っ込んでいくきらいは原作準拠なので違和感はないのですが、それにしても、哀ちゃんが助けに来なかったら絶対に死んでいたし、どうするつもりだったの!?というのは、敢えて突っ込ませてください笑
勇敢なのはいいことだけど、周りの人のためにも、自分を大切にしてぇ

減圧症にならないように、ゆっくりと浮上しようぜって提案するコナンくん、若干シュールで面白かったです。これだけはちゃめちゃやっておいて、そこはリアリティの演出するんだ、と笑

減圧症とかより、哀ちゃんが持って、交互に吸ってた酸素供給機の方が気になります。ボンベとか背負ってなくて、口の部分だけの機械だけど、あれで空気吸えるの??無限????実際にある??

無事に上陸した後、荒れ狂う波を退けるためのコナンキック、キック力増強シューズだけでは説明できないほどエキセントリックでド派手なアクションかましてて、めちゃくちゃにアニメーションも演出もカッコよくて、わぁぁぁあ大画面で見てよかったぁ!!と思いました。凄く映画映えするシーン。正直プロット的には要らないシーンだと思うけど、ド派手なアクションを楽しめて満足感に付加価値を与える上で、最後の花火的な意味で良いシーンでした。

哀ちゃんの事本気で心配してるのに、人工呼吸拒否されるシーン、好きです笑

○蘭

今回はヒロイン枠が哀ちゃんなので、活躍は控えめ……なんて事は全くありませんでした!!
蘭姉ちゃん強すぎネタ、公式が拾いまくっててくれてる感じ好きすぎる。これぞエンターテイメント!!

哀ちゃんが拉致され、ベランダから降りてどうにか救出しようとするコナンの判断力と行動力だけで十分かっこいいけれど、それを横目にベランダから飛翔して、月バックに翻り、車のボンネットに着地する蘭姉ちゃん、バトル漫画顔負けのド派手アクション……

体術も常人ならざる訓練を施されているピンガとの一騎打ちで、相手を推す程の強さ……どういうこと!?

蘭を巻き込まないために黒の組織関連の事情を話してないのはわかるけど、もう直接対決しちゃってるし……!!メンバーに怪我まで負わせたら危険因子として狙われたりしないんでしょうか??笑
京極さん、蘭姉ちゃん、世良真澄は正直に事情を話して戦力として加わってもらった方がいいでしょ!とか思ってしまうほどにアクションがカッコよかったです!!!!

月夜の二元ミステリーの時もそうでしたけど、愛ちゃんの事を守る、心配する、かけがえのない家族だと思っているまさに「天使」のような蘭姉ちゃんの慈愛にはいつもくるものがあります。
同じコナンを巡る恋愛関係の3人でありながら、蘭、哀、あゆみちゃんの3人がライバルとかギスギスした関係ではなくて、お互いにかけがえのない存在として支え合っている感じがコナンの大好きな点でもあります。

元々付き合ってて、両思いな点でも正規ヒロインは蘭
なのはわかりますが、哀ちゃんが蘭を応援することができるのは、それ以上に蘭自身の人柄に惹かれてるからかなと思いました。
蘭の慈愛の精神や優しさや温もりに、姉の愛を重ねてるんだなって思うシーンが、今作にもありましたね。
だから蘭ねーちゃん好きなんだよぉ……

○少年探偵団
○小五郎のおっちゃん
○園子

登場するものの、そこまで活躍しなかったメンバー。
福引でホエールウォッチング外れても、例によって鈴木財閥が関わってるから参加できちゃう感じ
現実だったら園子様におべっかつかって、イベントは何でも参加できちゃうのが当たり前になりそうなものだけど、毎回純粋に喜んで楽しんでる探偵団メンバーは無邪気で無垢で癒される。
今回ホエールウォッチングさせてくれた理由が、哀ちゃんの善行を見ていた園子からのプレゼントというのも沁みました。

小五郎のおっちゃんは推理パートで利用こそされていたけど、酒飲んで部屋で寝てるとかいうシーンもあったり、「ついてきてたの?」と思うくらいには出番が少なめで珍しいなと思いました。

元太くんは相変わらず鰻重発言があって、鰻重ネタに対する執念を感じました。あれはアドリブなのか

○ジン

ジンニキ!!
やたらかっこいいショットとか、気合の入ったカットとか多くて、「あれ?ジンニキって人気なの……??」って思うくらいには目立ってました。
冒頭で(おそらくわざと)キールの肩越しに標的を射殺したり、ピンガのことハブにして潜水艦ごと爆破させたり、とにかく仲間に対する殺意が凄まじい。鉄扉越しにも哀ちゃんはジンニキの気配をビンビンに感じてましたね

○キール

キール姉さん!!冒頭から標的を逃がそうとしていたり、哀ちゃんの盗聴器に気づいてそれを処理せず、ウォッカにアホな質問をぶつけることで哀ちゃんにヒントを出したり、哀ちゃんと直美アルジェントちゃんを殺すかどうかのシーンで露骨に反対したり、今回は味方ムーブが強すぎて終始ヒヤヒヤしました。これもう完全にジンニキにバレてると思うんだけどなぁ……笑

直美ちゃんが父親を事実上の人質にされて協力を迫られるシーンで、キールも父親の犠牲のことを思い出すシーンはかなりグッときました。そんな可哀想な思いさせたくないし、2度と誰にも、父を失う悲しみを背負ってほしくないと思うのは当然。だからこそ、強力的なムーブ多くなった点もあるのかな。

○ウォッカ

キールに質問されてベラベラベラベラ潜水艦の情報をリークするウォッカ
哀ちゃんのことを取り逃してアニキに平謝りするウォッカ
安定の抜けっぷりで、本当にあなた黒の組織向いてないよって思う
黒の組織の綻びというか、壊滅させることができるとしたらそのトリガーはウォッカだと思います。
銀の弾丸はコナンだけど、銀のトリガーは絶対ウォッカ

とはいえ、今回はそんなウォッカもめちゃくちゃ悪人ムーブしていました。
父親を人質にして直美に協力させようとするシーンは割と胸糞ムーブで、ウォッカそんな非道な事するなんてちゃんと黒の組織として悪者してるじゃん……と思うと謎の感動……。
しかし、なんというか、theチンピラというか、やり方がスマートじゃないんですよね。追い詰め方も、力技というか。そんなふうに脅されたら逆に反発するというか、屈しないようにしようって思って協力してもらえないと思うんですよ。実際直美ちゃんは決断せずにお父さんは殺され(生きてましたけど!)最悪のパターンでしたし。
おどしが有効なのって、人質が生きていること前提でもあるじゃないですか。
この辺り、やっぱりウォッカさんって抜けてるというか、エリート集団っぽい黒の組織においてちょっと、小物感がどうしても拭えないんですよねぇ

○RUM

堂々と登場!!あ、めちゃくちゃアニメ最新話あたりのネタバレだ!と思いました。予習しておいてよかった!
目立った動きはありませんでしたが、認証システムを「最近姿を見せないあのお方」を探るのに利用しようとしていた、という重要な情報が明かされました。
指示だけ聞いていればよさそうなものを、わざわざ探そうとするRUMの真意も気になります。ただ単にあのお方に会いたいだけ?ファン?ご尊顔拝みたい勢?ってことはなさそうですが……
同時に、あのお方が最近姿を見せていないという事実。薬によって子供化しているのは3人(コナン、哀ちゃん、メアリー)確定なので、あのお方は子供化していないはず。
でも、そもそも非力な子供よりも成人になる方が自然と考えると、あのお方は「成人男性」の姿に戻っていて、認証システムによってやっぱりばれる可能性があったからベルモットに「つぶせ」と命じたのかなと思います。
成人男性に戻っているとして、その正体、ジンとかだったりする野出しょうか
穴馬で、ウォッカとか……(ない)

○ベルモット

今回も今回とても大活躍のベルモットお姉さん。
最初にフサエブランドのブローチの整理券をもらいにきたおばあちゃんがベルモットだとは気づきませんでした!
爪が同じだったらしいので、気づく人は気づくみたいですが。
そもそも、哀ちゃんは整理券をもらったところでそれを買える財力があったのかという点と、買わせてもらえたのかという点が気になるところですが、おばあちゃんに譲った行為はホエールウォッチングというご褒美にもつながってほっこり。

ベルモットが哀ちゃんを助けた理由、今までだったら新一や蘭の為という流れだったけど、今回に限っては「アクセサリーを譲ってもらったから」って事になるんでしょうか……

そもそも私は知らなかったのですが、フサエさんというのも本編に関わる重要人物なのでは?という考察がされているキャラクターらしいです。
「ベルモットがフサエブランドのブローチを欲しがった」という事実と、そのブローチを付けている姿がラストシーンだったという演出から、フサエさんとベルモットの関係性も邪推したくなります。


◆総評


流れは面白いし、コ哀映画としても文句なし、キャラクターもみんな立っているし、アクションも爽快で映画として見どころ満載!
本編に全く関係ない話、というわけでもなく、組織のシェリーに対する認識が(一周回って元に戻ったとはいえ)激変したり、哀ちゃんの過去が明らかになったり、フサエブランドとベルモットのつながりを匂わせてきたり、「あのお方」が姿を見せていないという本編にも関わる新事実が明らかになったり、クオリティ的にも情報量的にも、かなり盛り盛りでコナンファンならば必見の名作と呼べる神映画でした。
スタッフ、ここまで練った映画を作り上げるなんてすごいなと思いますし、劇場で見ることができて心から良かったと思えました!!
かつきよ

かつきよ