まちゃん

時をかける少女のまちゃんのレビュー・感想・評価

時をかける少女(2006年製作の映画)
4.1
SFの重要なテーマであるタイムリープ。このテーマは世界の存亡を賭けるような壮大な物語になりやすい。そんな中でこの作品は高校生の日常という身近な世界観に絞っている。主人公は高校2年生の少女、真琴。千昭、功介という男の子二人と一緒にキャッチボールにカラオケと楽しい日々を過ごしている。この高校生男女3人組という設定が絶妙だ。彼らが永遠に続くと思っている幸せな日常が危ういバランスの下に保たれているのは誰の目にも明らかだからだ。観客が3人の日常に楽しさを感じると同時に青春の儚さも感じる仕掛けは見事だと思う。そんな中で身に付けたタイムリープの能力。何度でもリセットしてやり直す事が出来る楽しい日々。無邪気にタイムリープを繰り返す真琴に全ての事情を知る叔母の言葉「真琴がいい目みている分、悪い目をみてる人がいるんじゃないの?」アニメでは明示されないがこの叔母・芳山和子は原作の主人公であり、真琴を導く存在として重要だ。和子とのシーンは真琴の本音や悩みが吐露される重要なシーンであり、物語の推進力になっている。変わっていく3人の関係性、真琴に迫られる選択。SFと青春ドラマの見事な融合に震える名作だ。
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