映画大好きそーやさん

劇場版 SPY×FAMILY CODE: Whiteの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)
3.8
TVスペシャルクオリティを脱することに成功した、最高の劇場版アニメーション!
原作は未読、TVシリーズ1期完走、2期未見の状態での鑑賞でしたが、非常に楽しんで観ることができました。
某青ブタシリーズとは違って、ちゃんと劇場アニメで作る以上の、最低限の情報を新規アニメーションとして冒頭に差し込んでいたのが好印象で、そのおかげもあってSPY×FAMILYという作品から少し離れていた自分でも、すんなり作品の世界に入り込んでいけました。
確かに、脚本の節々にご都合的な展開、設定が混ざっていたのは気になりましたが、その犠牲を払って描くだけのテーマ性、やりたいことが明確で、その制作側の意図にノることができたので、評価も高くさせて頂きました。
大きく分けて2つの軸、擬似家族としての進歩、東西平和を揺るがすマイクロフィルムの行方がありますが、それぞれが映画としての強度を高め、最高のエンタメに昇華させる要素となっていました。(中盤の盛り上がりにおける前者、クライマックスの大団円を助ける後者と、常に観客を楽しませ続ける仕掛けがあったように感じます)
個人的には、擬似家族の確立の流れ、そしてヨルが母親としてアーニャに求められるシークエンスが1番涙腺を刺激されました。
不器用ながら母親としての自分の立ち回りに従事する姿は、トンチキコメディや殺し屋アクション等との緩急もあって、より感動が強まっていたような気がします。
アニメ制作のスタジオがWIT STUDIOが関わっていることもあって、神作画になる箇所が3回ほどあり、その貴重な1回がうんこの神様に使われているのは笑わない訳にはいきませんでした。
終盤の、飛行船でのロイド、ヨルらのボス戦はあまりの作画の良さに、自然と両拳を作って前のめりになって観ていました。
全編に渡るコメディ描写は、変顔多めなのが気になりつつも、個性豊かなキャラクター同士の掛け合いで、1人でも、友だち同士でも、カップルでも、楽しめるようにできていて良かったです。
総じて、多くの人が楽しめるように考え抜かれた、エンタメアニメーションの良作でした!