抑圧からの解放、真なる自由を手に入れるための、最高のバカンス。
初めに言わせて下さい。
本作の衝撃度は凄まじく、長らく動いていなかったオールタイム・ベストが更新されることとなりました!(2024年5月8日付)
本作は完璧とは言わないまでも、限りなく大傑作に近い作品だったと思います。
日々不自由を感じていた二人の女性が、繰り返される日常、パートナーから離れてドライブ旅行へ出掛けるといった内容ですが、とある事件が起こったことで警察を巻き込む大騒動へと発展していきます。
正直、序盤のバーのシークエンスでは、スーザン・サランドン演じるルイーズに、この事件(ツイストの発端)を起こしたいがための行動をさせていたように思えるのですが、それを踏まえても、この楽しい旅と、サスペンスを煽る警察の追跡が並走することによるスリリングさは、普遍的な面白さへとつながっていました。
お金の管理や人物の動かし方、無理な見せ場作り、一部の説教的な台詞回しと、要所要所で気になる部分はありました。
ただそれらを引っ括めて、劇伴の使い方や選曲の良さ、エンタメとしてのストーリーラインの完成度の高さ(寓話として捉えれば、諸々の不満点も解消される気もします)、根底に宿るある種の開かれた救済譚に、劇中ずっと心踊らされ、片時もスクリーンから目を離させませんでした。
また、誰もが語るであろうラストカットの多幸感、達成感、到達感たるや、他作品では味わったことのない快楽を覚えました。
彼女たちの選ぶ道における、1番良い展開であり、画だったと、鑑賞から時間が経った今でも思います。
恐らく1人で観ていれば、両の拳を握り締め、言葉にもならない奇声を発していたことでしょう。
あれ以上に良いラストカットに出逢うことを今後の目的の1つに据えてもいいと思えるほど素晴らしかったです。
個人的な共感ポイントとして、傍から見ればどうしようもない(軽率な行動で、厄介事ばかり持ち込んでくる)、ジーナ・デイヴィス演じるテルマと自分のパーソナルとが重なる部分が多々あって、その点も本作をオールタイム・ベスト入りさせた所以となっています。
総じて、確かにツッコまれても仕方がない部分はありつつも、大事にしたいと思える精神性であったり、映画に求めるポイントであったりを殆ど網羅した驚異的な傑作でした!