Jaya

唯一、ゲオルギアのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

唯一、ゲオルギア(1994年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

豊富な素材を繋いで振り返るジョージア史ドキュメンタリー。観たことある映画がいくつか出てきてそれらの鑑賞の機会をくれた劇場に感謝。3部構成でした。

第1部では中世辺りから第一次大戦辺りまでさっくり。第2部では共産化されソ連邦国としてのジョージア。第3部ではソ連崩壊以降、1994年まで。

冒頭からジョージアの文化的な紹介が続きます。ポリフォニーや絵画は出色。しかし徐々に民族主義国粋主義的な視点の強さが見えてくるようでした。

少なくとも監督としては歴史的にも文化的にも宗教的にも東欧の防波堤として欧州の一員である自覚が強いらしく、トルコやペルシャましてやモンゴルの影響など一切認めない。一瞬のフランスやドイツの登場はさすがに牽強付会に過ぎる。

旧ソ連も暗黒の時代として跳ね除けますが、おらが国のスターリンだけについては強く出られない。同じくシェワルナゼも無謬の英雄。後で追放されるのに。

全ての国の常套句「わが民族は寛容で共存可能」ながらアブハゼ人には恩着せがましい。内戦時の南オセチアとの戦闘については一切触れない。南オセチアではオセット人が圧倒的多数だからか?現代クリミアとの類似点が感じられるにしても全てがロシア人のせいでは通じない。

一貫してその歴史は著名人からのみ語られ、民衆は衆愚である一方で客観性の担保などどこにもなく、近視眼的な被害者的視点のまま、感傷的に過ぎるラスト。オーケストラと空いた椅子は表現としても中途半端に感じました。

制作年度を考えれば致し方ない面もあるのでしょうが、牧歌的な点では感銘を受けつつも、その歴史に対する視点には普遍的な愛国者的独善を感じ、芸術家のやることかなと落胆した映画でした。
Jaya

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