orangejuice

SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してるのorangejuiceのレビュー・感想・評価

5.0
映像が美しすぎて、動画というよりも大量の写真の連続みたいな感覚で、シーンのひとつひとつが静止画としてくっきりと強く心に焼き付いています。

響が身を挺して真治に愛を注ぐ様が素晴らしかった。どんな目に遭おうとそこには1ミリの迷いもなく、ただ真治を守りたい愛し抜きたい、ただそれだけで。
身体的に不自由があっても心は限りなく自由で、愛することへの障害にはならない、ということを教えてくれる。
むしろ欠けたものを補い合うからこそ、お互いがかけがえのない存在になって行く。
ただきっと、実際は美しいことばかりではなく、不自由さからくる不安や苛立ちが時にはあるはずだけれど、この2人の結びつきが弱まることはないことが凄い。

真治の葛藤が苦しい。不器用で愛を上手に表現できる人ではないけれど、その深い絶え間ない愛情が時を追うごとに伝わってくる。序盤の荒んだ表情、幸福にまどろむ世界、決意する太く芯のとおった姿、その振り幅の大きさを自由自在に自然に表現していたことが凄かった。
すごく幸せなシーンだとしても、どこか深いところに孤独を感じさせる瞳が切ないし、本当に幸せになって欲しいとずっと願った。
響は最初は自分の推し漫画の作者という出会いだったと思う。けれど、その先には計り知れない深い愛があったことに共感する。
相手がどんな境遇になろうと、たとえば全て失って地の果てに落ちようとも、魂で愛した人だから。気持ちは一切変わらない。自分の1番大切なものをあげたい。

EDがすべてを物語っていた。真実の愛というのはただただシンプルで、自分よりも相手の幸せを願う、そして自分のもてるありったけの愛を剥き出しにすることなのだと教えてくれた。
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