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エルヴィスのorangejuiceのネタバレレビュー・内容・結末

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

オースティン・バトラーの、この撮影が終わったその日に倒れ1週間入院した、それほど全精力を注ぎ込んだ作品、というインタビューを読んで観てみたいと思い。

エルヴィスは何に殺されたか、それはファンの愛、という大佐だけど。
エルヴィスはそこまでただひたすらに成功だけにのめり込んでいたんだろうか。彼の渇望感とか、地に足ついてない感が続いて、観てるこちらもずっと不安。結末を知ってるからかもしれないけれど。
ブラックミュージックにそこまで傾倒していたということは初めて知った。それを踏まえて見ると、その反骨心とかそのエネルギーの高さに心震えてしまう。

家族をただ幸せにしたかった、そして純粋に音楽に魅せられた若者が、自分では抱えきれないあり余る才能を、自分にぶら下がる周囲に絡め取られて行くという風に見える。

ライブシーンは、特に絶頂期のそれは、ある種神がかっているような凄まじさだった。
初期の、ロックを表現したい本人の激しい衝動が抑えきれないライブもものすごく臨場感があって。そして客席のファンが今の時代から考えると、想像を遥かに超える熱狂ぶりで、一種のショック状態みたいな様子で怖いほど。
たった1人の人間が、音楽で世界を変えた瞬間なんだと実感する。

世界ツアーがもし叶っていたなら。それで全てが丸く収まったかどうかはわからない。
けれど、本人の夢がついえた瞬間が、この映画の中で最も哀しいシーンだった。
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