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SUGA: Road to D-DAYのorangejuiceのネタバレレビュー・内容・結末

SUGA: Road to D-DAY(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

友達がたぶん一生分のチケ運をつかって、ユンギを3列目で観ることができて。その興奮を今も冷めずに毎回語ってくれるし、そして私の推しも観にきてたみたいと教えてもらった。。私もその世界を知りたくて観させていただいた。

ユンギの「何も話したくない、話さなきゃいけないけど、話すことがない」という、とてもしんどそうな気持ちが伝わるシーンから始まる...

スティーブ青木などの家やスタジオで友人たちと交流したり、大自然の中を旅する中で、徐々に心が解けていく様子がわかる。
「旅行って楽しいね」と目を輝かせる姿に、複雑な思いになる。どれだけの成功をおさめても、手に入らない幸せがあるんだなって。
常に誰かに注目されていたり、監視の目があったり、というのはどれだけの不自由さやしんどさがあるんだろう。
自身の夢を実現すること、ファンや周囲の期待にこたえつづけること、夢をあたえること、後継に道を拓くことは、自分にしかできない、絶対に代わりのいないお仕事で。きっとどんなことよりもやり甲斐があると思うし、一生を賭ける価値があって。
推しと自分を考える時、遠くから応援することしかできない立場では、こういう胸のうちを見せてくれることは、なによりも本当に嬉しくてそして苦しいな。

「音楽を作るのは楽しい。でも仕事になると苦しい。でも自分が音楽を作らなかったら、ファンの人たちはつまらないでしょ」という言葉。

坂本龍一との交流のシーンで。
お互いが緊張してたのは、お互いの才能、存在に対する畏怖に感じて。
「なぜ音楽を続けていられるのか、僕は17年(だったかな?)何度も辞めたくて」と相談する。
教授からの回答は「それはいつも完全なものはできないから。そして常に上には上がいるから」

何も食べられず入院して点滴して、でも教授にインスパイアされた曲を仕上げようと思ったら元気がでて。そして退院までに完成できたと。
それに対して、「大変だね」と心から心配した教授の言い方に、涙が出た。
この2人は音楽をとおして、深いところで結びついた関係にみえて。
お互いピアノを弾いて、緊張なのかな、ちょっと間違えたりして、2人とも子供みたいに無垢な、優しい顔になったところがとにかく素敵だった。

教授と会った後に。
「今までは自分がどんな姿で音楽を作り続けて行くんだろうとずっと思っていた」と。
「でも40歳になっても50歳になっても作り続けよう」と、輝いた瞳で話した時に、人の思いとか魂というのは、こうやって誰かの前進への希望になり、血肉となって受け継がれて行くんだなって。
こういう生身のドキュメンタリーをみせてくれる世界にただただ驚く。
だからきっと、より近くに感じられ、応援への熱が高まるんだということを知ることができた。
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