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そして僕は途方に暮れるのorangejuiceのネタバレレビュー・内容・結末

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

側から見たら明らかに、そんなふうに逃げれば余計に面倒なことになるだろうと思う。
相手の怒りが爆発したことに耐えきれずその場から逃げる、ということを繰り返す人、主人公の裕一。
最初は、祐一がそこまで衝動的に逃げ続ける意味がただただ不可解だった。
けれど、父親の登場で理由が見えてくる。
遺伝なのだ。宿命と言ってもいいのかもしれない。
祐一はこの父と暮らす中でこの逃げ癖について客観性を持ち始め、自身と向き合うことになる。
大切な人たちを失う恐怖に怯えて、なんとかしなければと焦りつつも、それでもまだ逃げたいと思ってしまう自分。
実家で、祐一が泣きながら語った言葉。
どうして自分がそうなってしまうかわからないという意味の言葉だった。

そうだった、誰にでも弱点はあるのだと気付かされる。時には人から見たら不可解なダメさ。
そして、その弱点に苦しみながら克服できずなぜそうなってしまうのか理由すらもわからない、弱点ってそういうものなのかもしれない。

祐一が心を入れ替えた先の、里美との別れは衝撃だったし、確かにそれはそうなるか、みたいに腑に落ちた部分もあった。
因果応報というほどの大袈裟なものではないかもしれない。
けれど、執着するほど好きでなにもかも許容してきた人と、物理的に距離が離れたとたん、我に帰るというか、洗脳がとけるように突然その理不尽さに気づくことがある。
嘘のように、それまでの好きな気持ちが跡形もなく消えるというのはわかるし、よくあることなのかもしれない。

最後は希望が持てるシーンなのがよかった。人はいつからでも変われる、そんな気持ちを持たせれくれる。
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