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ギリ義理ファミリーのkuuのレビュー・感想・評価

ギリ義理ファミリー(2023年製作の映画)
3.0
『アウト・ロー ギリ義理ファミリー』
原題 The Out-Laws
製作年 2023年。上映時間 95分。
[Netflix作品]『僕のミッシー』などのタイラー・スピンデルによるアクションコメディー。
結婚直前のお堅い銀行支店長が、婚約者の両親が強盗犯ではないかと疑う。
『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』などのアダム・ディヴァイン、『ラブ・ハード』などのニーナ・ドブレフのほか、ピアース・ブロスナン、エレン・バーキンらがキャストに名を連ねる。

銀行支店長のオーウェン(アダム・ディヴァイン)は、恋人パーカー(ニーナ・ドブレフ)との結婚を目前に控えていた。
結婚式まで1週間を切ったある日、彼の勤める銀行が、悪名高い強盗団『ゴースト・バンデット』に襲撃される。
オーウェンはさまざまな理由から、街に来たばかりのパーカーの両親(ピアース・ブロスナン、エレン・バーキン)こそが強盗犯ではないかと疑う。。。

エヴァン・ターナーが企画し、ターナーとアダム・デヴィーンがデヴィーンの主演作として製作された今作品は、最初はなかなかいいアイデアを用いた話やなぁとは思った。 
銀行支店長のオーウェンは、パーカーとの結婚を間近に控え、長い間不在だった彼女の両親が結婚式に来てくれることを知って感激する。
彼らが型破りであることは云うまでもない。
往き来しにくい南米のジャングルに住んでいた人類学者という彼らのバックストーリーは、それほど通用しない。
コンセプトとしては有望で、アダム・サンドラーの製作会社ハッピー・マディソンが契約を結ぶには十分やったはず。
しかし、そのコンセプトが実際、善き脚本になることはなかった残念。
台詞は申し訳ないけど、、、ひどい。
また、演技は大げさで、ジョークは幼稚。
彼らはすべてを茶番にするのではなく、茶番を作ったと思っているみたい。
今作品をヒドイと呼ぶのは、他のヒドイ映画に対する侮辱かもしれない。
ハイ・コンセプト、この場合はロー・コンセプトのアイデアを実現するのは難しい。
成功させるためには、タイトな脚本、信頼できる前提条件、そしてプロットに有機的なコメディが必要やと思う。
コメディだけに焦点を当てると、ジョークは下手くそで繰り返しが多く、たいていは体の部位を連想させるものばかりで、グロいしあまり笑えない。
タイラー・スピンデル監督は、他の作品での実績から見ても、その実力は折り紙付きのはず。
信じられないような状況に信憑性を持たせることは、経験豊富なコメディ監督にとって難しい。
一貫性のある脚本にならなかったコンセプトの場合、彼が目指したドタバタ劇に必要なタイミングを演出するために慎重なディレクションが必要なのに、彼は俳優たちにお遊戯を演じさせてしまったよう。
ウディ・アレンの古い言葉を思い出す。
"今はまだ構想に過ぎないが、構想にするための資金を調達し、後にそれをアイデアに変えることはできると思う"
そもそも今作品を見ようと思たのキャストに惹かれたから。
オーウェン役のアダム・デヴァインは、チャーミングで、効果的に目を見開き無邪気で、とても滑稽になれる俳優さん。 
彼の演じるオーウェンは、魅力的なほどオタクだが、法を守ることから犯罪者へと納得できないほど変化する。
パーカー役のニーナ・ドブレフには何の役も与えられていないため、行動のきっかけとなる彼女の役割は場当たり的。
彼女とデヴィーンには、アクションを推進するのに必要なケミストリーが欠けていた。
オーウェンの両親、ニールとマージー役のリチャード・カインドとジュリー・ハガティは、パーカーの両親とは正反対の役柄として懸命に演じ悪くはなかった。
彼らの、あるいは少なくともマージーが乱交パーティに参加する性癖が、ジョークになっている。パーカーの両親ビリーとリリーを演じるのはピアース・ブロスナンとエレン・バーキン。
ブロスナンはアイルランド訛りのアクセントを使い、銃を振り回す。 
ジェームズ・ボンドへの無理矢理な言及もあるが、ブロスナンは自分のキャラに完全に馴染んでいるようには見えなかった。
これほど違和感のある彼を見たのは、『マンマ・ミーア!』で歌おうとしたときくらいかな。
興味深いことに、エレン・バーキン(リリー)は、自分が何をしているのか、誰なのかをやくがらを正確に理解していたし、他の出演者の模範となるべきだった。
彼女は、どんな状況であろうと、どんなにひどい台詞であろうと、良くも悪くもその役を生きるのだということを本質的に知ってるかのよう。
まぁ、その辺りの演技を観るに至っては救いかな。
少なくとも95分という映画は長くはない作品やし、痺れは何とかもちました。
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