北斗星

コット、はじまりの夏の北斗星のレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.1

今、こんな静かな作品を創れることが素晴らしい。
映像が美しいのは言うまでもない。
コルム・バレード監督は40代。今作が長編映画デビュー作とのこと。とても才能がある。今後も注目したい。
本作のキャストも素晴らしかった。


一昔前ならば割とよくある話かもしれない。

親戚の叔父さんと叔母さんは、ある意味、父親と母親の理想形だと感じた。


父親は
社会の規範であり、無骨でぶっきらぼうだけど逞しく、温かく包みこんでくれる存在。

母親は
いつも側に居てくれて優しく、身なりの世話をしてくれたり、料理の手伝いや掃除のコツを教えてくれる。


二人とも愛情深い。


夫婦は愛し合っている。


時にお父さん(叔父さん)は横に並び、人生について示唆を与える。


家はいつも片付いている。


背がどんどん伸びる。


コットたちと毛色の違う
お通夜に来てたおばさんの知り合い。そしてコットの両親。


おじさんとおばさんもただ親切な人たちでなく、人の心の痛みを知っている。


叔母役の女優キャリー・クロウリー。後年、ユニセフの活動で輝いていたオードリー・ヘプバーンを彷彿とさせるような気品と美しさ。
劇中、鼻に抜けるような言語、一体何語だろう?と。彼女が話すのはアイルランド語だそうだ。


全速力で走る。
沈みがちだったコットの表情が急に生き生きしだす。コットの人生が確かに動き始めた! 


終わりがあるからこそ、際立つ。

このひと夏の温かみと記憶が、彼女の人生をこれからも支えてゆくだろう。
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