北斗星

家族の肖像の北斗星のネタバレレビュー・内容・結末

家族の肖像(1974年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます


室内劇。
絵画、調度品、室内装飾(全て本物なのだろう)などの映像美。各人物の魅力、会話劇で進んでゆく。


孤独で芸術肌の老教授、バート・ランカスターが知性的な紳士を演じていた。
シルヴァーナ・マンガーノは『ベニスに死す』では金髪美人だったが、今回は眉毛がほぼなく、正直怖い。声が大きくズケズケした物言い。アラフォーくらいか。メリル・ストリープに顔立ちが似ている。


娘役は小娘、、と言った印象。まだ10代〜20歳くらいだろうか。柔らかな声が印象的


ヘルムート・バーガー(コンラッド)が登場した途端、優美な音楽が流れた。教授のパッと晴れた心持ちがわかる。


コンラッドが白いバスタオルにくるまれて立ってる様は、ベニスに死すのタジオと重なる。このスタイルは監督の好みなのかな。ヘルムート・バーガーは実生活でビスコンティの恋人だったそうだ。


突然、うぶな感じのきれいな女性(ドミニク・サンダ)や、急に泣き出した女性(クラウディ・カルディナーレ)が出てくる。

母親と元妻らしい。
タイプは違えど、ビスコンティ作品に出てくる女優は皆美しい。



冒頭から前半は、突然居座る家族がドタバタと、ちょっとホラーに見えるくらい強引な展開。可笑しみもあったりする。



後半はシリアスに。
教授は、唐突に登場した家族を迷惑がっていた反面、歓迎してるようにも見えた。人を求めていたのだろうか。


しかし、コンラッド以外の“家族”が実は“教授が見た幻”だったと言われても、やはりそうだったのか、と。全ては教授の夢だったとしても…。




『ベニスに死す』のダーク・ボガード、今作のバート・ランカスター。どちらも叶わぬ愛、決して実らない。悲嘆して絶命したのかと思う一方、思い煩いながら逝けるというのもなかなか、、。 そう感じた。



2024.2/24、2/27
北斗星

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