最近の映画記録、TIFFでみた「20000種のハチ」のこと。
ワールド・フォーカスのバスク映画特集の一本で、ベルリン銀熊賞をとったスペイン映画。
8歳の少年アイトールの一家が、夏休みにフランス領バスクから、母の実家のスペイン側に帰省する。
この主人公アイトールが、性自認は女性で…と、まあ「トムボーイ」や「リトル・ガール」と同様の「思春期前のGID」の映画なのですね。
男子水着でプールに入るのを嫌がったり、水着関連で事件を起こしたり。また、姉と兄がいる末っ子で、母はかなり甘やかしてる背景も。
また、母は彫刻をやっていたのだが、その亡父は有名な彫刻家で…などの要素も。
こういうドラマ的要素を、演出とか伏線とか上手く提示して伝えようという感じでなく、「見てる内になんとなく分かる」形で見せていく。自然光のロケだが、ドキュメンタリー風という訳でもない。
タイトルのミツバチも、もっと何かありそうだが、とてもサラっとした提示。
好意的に捉えると、ネオリアリズムの末裔といった感じの映画で、確かにベルリン向きかも。
クライマックス、主人公が見つけた「自分の名前」を家族が共有するシーンだけ、とても饒舌で演劇的だ。