櫻

夜明けのすべての櫻のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0
おおきな器がそこにあって、降ってくるものやこぼれ落ちるものをすっと受け止めていくような、やさしい作品だった。不可抗力で抱えなくてはならなくなった苦しみや傷を、それぞれ見せないだけで持ったまま、月曜になると辛くなったり、ちいさなことで大丈夫になったりしながら生きている。この夜が続けばいいと思うときも、朝が待ち遠しいときも、わたしたちがどうしていても、地球はまわり続けていて、朝は光とともにやってくる。苦しみや傷が多いほどやさしくなるわけではないけれど、もうなるべくそういうことがないといいと思いながら、よく考えて生き抜いた人はやさしい。同じものはひとつもなくても、感じ取ることはできるのだから。わたしもこうあれたらな、と何度も観ていて思った。こころやあたまに余白を残して、器をおおきくしていきたい。
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