サラリーマン岡崎

夜明けのすべてのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.6
こんな自然と助け合える環境がある栗田科学にとてつもない愛を感じた。。。

僕も軽度ではあるがパニック障害になったことがある。どんなに今日は大丈夫と思っていても、特定の場面になると何故か過呼吸になってしまい、自分の体がコントロールできないことに恐怖が日々増していったのを覚えている。

そのときは迷惑をかけそうな人には持病を明かして、なんとか心が軽くなった。
でも、それを伝えるのにもとても勇気がいったし、なんとかそれに打ち勝ちたいと思って無理している自分もいた。

だから、この映画で光石研が、渋川清彦が、栗田科学のみなさんが見つめる眼差しとコミュニケーションはとても心が救われた。
何よりもその痛みを認識して、全てはできなくても理解することがまず重要で、僕自身もPMSはもちろん知っていたが、この映画で出てくるような症状までは知らなかった。
だからこそ、まず「知ること」がとても大切なんだと感じた。

そして、この映画は男女が主人公だが、
恋愛関係にもならないし、男の方には彼女も出てきて、その彼女と女性主人公が出くわすシーンもあるが、特に嫉妬とかにはならず、むしろ感謝のシーンとなっており、そういった自然なシーンがとても心地が良かった。

舞台挨拶の生中継もたまたま見れたが、
三宅監督がこの題材だからこそ、就業時間は徹底したと話していたし、最後も様々なスタッフの方にお礼を述べていた。
作品の作りからもう愛に溢れていた。

この体は果てしない宇宙の様に、自分のものなのにわからないことがたくさんある。でも、そんな未知の夜でも、いつかは明ける時が来る。
この映画をたくさんの方が観れば、そんな未来が必ず来ると思う。