サラリーマン岡崎

Hereのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
4.8
男は冷蔵庫にある野菜でスープを作り、友人たちに配っていく。自然の中で作られた野菜たちは彼らの体の中に入っていき、彼らの一部となる。

女は苔の研究をしている。生命力のある苔は地球の歴史の初期から存在しており、人間が滅亡しても生き続ける。

ベルギーがこんなに多民族国家だったことはこの映画で初めて知った。
映画の中で出てくる「ヨーロッパ中を周った初めての電車」がベルギーに来たように、様々な国からこの国にたくさんの人が集まっている。

長い歴史の中で、様々な生命活動があり、それらがまさに自分の中に生き続けていることをこの映画では体感する。
何が起こることはないこの作品は、そんな壮大なことを描いている。

自分の居場所がどこなのかわからなくなっている主人公の男。
でも、過去の様々なことが彼を作っている。そして、彼も大工として、街を作っている。

女と出会うのも土砂降りの日であり、生命に潤いを与える日。そんな中で新しい出会いを育むこともロマンティック。

地球が生まれて様々なものが自分という"ここ(Here)"を作っている。
生きていくことにとてもロマンを感じる作品。
心が癒される。