サラリーマン岡崎

哀れなるものたちのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
「動物と人間の違いは何か?」
劇中、ウィリアム・デフォー演じるゴドウィンが大学の授業で放つセリフだ。

本能的に生きる主人公ベラは動物なのか?
でも、彼女自身は映画が進むにつれ、様々なことを吸収し、聡明な女性になっていく。
とてつもなく人間らしくなる。

彼女が早めに刺激を受けるのは性欲であり、とても動物的な本能ではある。
でも、その本能的な経験をしたからこそ、それと対比されて出てくる「学び」の面白さも深く理解するし、
セックスを通して、社会のあり方や人とのコミュニケーションへの考え方が醸成されていく。

人間も動物ではあり、その中で感じたことが学びとなり、「人間」たる生物になる。
でも、その中で社会のしがらみやプライドが邪魔をして、捻じ曲がってしまうのも「人間らしさ」ではあるが、ベラはそういった人間らしさは身につけずに成長する。これが本来の「人間らしさ」だと言わんばかりに。

ラストの結末は賛否両論あるみたいだが、
僕はハッピーエンドだと感じた。
生きるのが辛く自殺したベラをゴドウィンが愛を持って脳を移植したように、
彼女もあの人に対して、人間界で得た煩悩を排除して幸せに生きるように、あの結末を用意したように感じた。