サラリーマン岡崎

落下の解剖学のサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.7
「証拠がないなら、状況から判断するしかない」
この台詞の重みと威力にすべてを持っていかれた。

裁判はすべて証拠ありきで進む。
その証拠たちがなかなか掴めないから、重箱の隅をつつくよくない会話が裁判の中で繰り広げられることをこの映画は描いている。
何が真実がわからない中で、証拠がない中で何を自分が信じるかを考えたときに、
その人は実際に本当に罪を犯したのか、
自分自身の軸で考えなければならない。
その時に、その相手のことをよく考える必要がある。

これは夫婦関係、いや人間関係もまたそう。
相手が何を考えているのか、
全てはわからないけれど、相手のことをよく考え、自分自身の軸で相手の気持ちを読み取り、寄り添うことが重要である。
それでこそ、相手のことを信じることができる。
「信じる」というのは、相手に委ねるものではなく、自分自身で確立するものだ。
映画の中の主人公夫婦はそれができていなかった。

親でさえもそれが出来ていないのに、
それをしなければいけない状況にある息子が背負わされた運命はとてつもなく重い。。。