YuukiTeramoto

夜明けのすべてのYuukiTeramotoのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.7
なんて優しい映画だろう。

自分の苦しさはどうにもできない、薬で対処も限界があるし、「治る」なんてないのかもしれない。でも、身近な人の苦しさをちょっとだけ助けることはできる、かもしれない。
それに気づいた山添くんが初めてそれを実行するシーンがとても好き。劇場でも笑いが起きてたけど、症状を馬鹿にする笑いではなくて、でもなんかおかしくて笑っちゃうシーン。2人がお互いの病気や症状について軽口叩き合うシーンも大好き。病気を馬鹿にするんじゃなく、腫れ物にするんでもなく、自然にそこにあるものとして受け止めている、そんな姿がとても素敵だった。

山添くんが初めて職場の上着を着るシーンも大好き(大好きばっか言ってるなさっきから)。あの職場を好きになった、というだけでなく、今の自分を受け入れることができたんだろうなと感じて、私まで嬉しくなってしまった。

主人公2人だけじゃなく、栗田社長も、山添くんの前の職場の上司も、外からは見えない傷を抱えている。もしかしたら他の人たちも、見えないだけで苦しさを抱えているのかもしれない。
藤沢さんも山添くんも、病気で苦しい思いをするからこそ、他人の見えない傷を想像できるのかもしれない。
想像できれば少し人に優しくなれて、その輪が広がれば、生きやすくはならなくても苦しさは少し減らせるのかもしれない。

見るつもりなかったけど、色んな人の感想や記事を読んで見たくなって、本当に見てよかった。ここには書ききれないくらい、愛しいシーンがたくさんある。大好き!上白石萌音、可愛さでは今回今までで一番では?と思う。
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