たけのこれんこん

Avalon アヴァロンのたけのこれんこんのレビュー・感想・評価

Avalon アヴァロン(2000年製作の映画)
3.7
デジタル世界に現実世界の人間がアサインしてどうこうする世界。設定だけなら最近で言うと「レディプレイヤー」「竜とそばかすの姫」に似てる。

2001年の制作だけあってCG表現が稚拙。
当時なりにデジタル表現を頑張ろうとしているのがわかるから、今見るとちょっとダサくて恥ずかしくなる…けど、全体的にセピアかかった古い画面に、白い病室、魂の抜けた廃人、戦車、古いタイプライター、ルネ・マグリットの「光の帝国」のごとくシルエットだけ目立つ建物……寡黙な丸メガネでセミロングの主人公。
そんなのを見てると、ビジュアルなんかどうでもいいかなと思えてくる。

この映画の緩急のテンポが好きでたまらない。
ただ主人公が黙って歩いてるだけとかの何を示唆してるのかよくわからないスローなシーンにぼそぼそ喋る難解な専門用語…九人の女神、謎めいた老人(GM)が語る神話。
急に始まる銃撃戦、美人だけど色気はなく、クソ強い女主人公。
差し挟まれる重要なキーワード、夕暮れの路面電車、刻まれるキャベツとぐつぐつ煮込まれる鍋。
残飯みたいなゲロ飯をくちゃくちゃ食う男、同じくらいくちゃくちゃ食う犬。
小難しい難解なテーマの映画かと思いきや、実は「俺つぇぇ」系のわかりやすいエンタメな物語。
何度か見ていると意味がないと思っていたシーンにも感情を感じるようになってくる。
噛んでると味が出てくる昆布みたいな映画。