たけのこれんこん

雨を告げる漂流団地のたけのこれんこんのネタバレレビュー・内容・結末

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

廃団地ごと遭難してしまった子供たちが食べ物を探して部屋を巡ったり、アルコールランプで明かるくしたり、他の建物を探検していた最初は楽しかった。折ったアンテナと電線をモリのように投げて隣の建物に乗り移って自販機を壊そうとするも、子供の力じゃ簡単に割れないのはリアリティがあってわくわくした。導入の雰囲気は好き。

ところが、なぜこんな状況になったのか解説が始まる中盤、崩れ始める建物と共に団地の思い出話が出てくるあたりでグダってくる。

ときおり出てくる団地の思い出はごく断片的でそれっぽく匂わせるだけ。
絶対なにか知っていそうな「のっぽくん」は正体を焦らしまくるうえ、なにもしないのでさして魅力はない。
友達を助けるために怪我をしたヒロインにお礼を言うどころか罵倒する脇役の女子やすぐ泣くヒロインは情緒不安定でいらつくし、
子供たちのセリフやリアクションは大げさで説明っぽくて、画面が暇になると出てくる主人公とヒロインの口喧嘩はいかにも大人が考えた子供の痴話喧嘩って感じであざとい。
少ない食料、バラバラに崩れて沈みはじめる建物群、遠くに見える陸の影……なにかありそうでなにも起きず、辛気臭い雰囲気と展開にストレスが溜まる。

中盤からヒロインはずっと泣きっぱなしで、自分の気持ちを優先して和を乱すばかり。
それにいちいち付き合って助けようとする主人公がグダグダに拍車をかける。
後半、やっと待ちに待った真相が明かされる……かと思いきや、突然はじまるアクションでうやむやに。
主人公たちはずっとなにか叫んでいたなという感想。
そこらへんから私は集中力を失ってしまった。
子供たちだけではどうにもならなかった漂流にどう決着をつけるのかだけ期待してチラ見していた。

ラスト間近で、団地の霊(のっぽくん)と観覧車の霊(大人)が協力して子供たちを現世にみちびく流れになった。
結局大人が解決するのかと少しガッカリした。

主人公とヒロインばかり描写して他のキャラの掘り下げが浅い。私は登場人物の誰にも共感できず視聴終了。