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チャレンジャーズのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)
3.5
予告編で観た気高く不遜で美しいゼンデイヤ様をスクリーンで拝みたく足を運びました。絶対的ヒロインとして君臨する彼女に跪き右往左往する二人の男、みたいなのを想像してたけど実際は割と違ってて、いい意味で想像を裏切られた感があります。

「試合開始15秒で完全に相手を理解するの。恋に落ちるみたいに」という神がかり的才能と美貌でもって男たちを最初に手玉に取るのは確かに彼女なんだけど、チャレンジャーとして失うものなく不敵な笑みを浮かべる親友を冷徹な目で見下ろす場面がサウナ内で静かに繰り広げられていたり、彼らしか知り得ない符牒でもって試合中に全てを理解し合ってからのクライマックスが古の大映ドラマばりにコテコテの演出を施されていたりするあたりもう完全に「君の名前で僕を呼んで」の監督がいかにもやってくれそうっていうか、むしろ描きたかったのはここだけで他は何もかも後づけなんじゃねえかって気さえしてきました。

これは素人目の憶測に過ぎませんが、監督はテニスってかスポーツ全般あんまり興味ないんじゃないかな。テニス好きならもうちょい端折ってスタイリッシュに見せたがりそうな試合シーン、だいぶくどくど描かれてたので。トレント・レズナーによる劇伴もラリーよろしく高速パンするカメラワークも、多用しすぎて終盤ちょっと飽きてきました。スローも多かったな。

わたし自身はテニスに疎くてプレーの巧拙がさっぱり分からないので、主演お三方の頑張り度合いがいかほどなのか競技経験者に教えを乞いつつもっかい観たいと思いました。あ、予告編から想像したほどにはエロくなかったです。もっとドロドロに爛れてんのかと思ったらわりとスポ根寄りでしたね、って感じ。2000年代の現役プロアスリートがタバコ吸うわけなくね?等の瑣末な突っ込みどころは多々あったけどおもしろかったです。
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