最初からこのお三方を軸に話が進んでいくのかと思いきや、当初は学生が5人いたのにそこから4人がごっそり消えて最終的に男ふたりが行動を共にするという三段構え。さらにクリスマスを終えニューイヤーを迎えたところでエンドロールに切り替わったらめでたしめでたしと言えなくもないところをもう一度引っ張って、ほろ苦くも暖かく素っ気なくしてやったり感まで漂わせる辺りめちゃいいな〜と思いました。建物を収める画角といい走る車を滑るように追う引きのカメラワークといい、静と動のメリハリが効いてて終始眼福でした。
主演の3人は年齢も性別も人種も属性も異なっていて、画ヅラだけ見れば束の間の擬似的な家族として描くこともできたと思うんですけど、それぞれが近しい群れから距離を置いている(ように見える)だけあって身を寄せ合い傷を舐め合う関係には陥らず、各々自分の隣に居場所をほんのちょっとだけ空けてみるような関わりかたをするんですよね。その近づきすぎないありようがとても風通しよく感じられました。学生が唇の端を片側だけ持ち上げるようにして笑う姿はいかにも賢いクソガキ感があってよかったし、蘊蓄を披露する先生の〆のキメ顔もめんどくささと茶目っ気のバランスが完璧だったし、オンとオフの切り替えがお見事な料理長は四六時中タバコ吸ってて酒もいける口だしそんな事よりウインクが最高にかっこいい。よいものを観ました。